整形外科医が骨折の保存療法を行うことについて

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柔道整復師が骨折の保存療法を行うことについて/Dr_Koala™https://note.com/dr_koala_/n/n922ad69b2c56

医師法第十七条には「医師でなければ、医業をなしてはならない。」とされています。医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことは医師しかできない。

つまり、「骨折の治療は医師しかできない」ということです。※柔道整復師は例外です。

医師の中でも学会認定専門医というものがあり、日本整形外科学会が認定する整形外科専門医というものもあるのは皆さんご存知かと思います。

整形外科専門医含め医師はX線撮影ができ、骨折の治癒を診断することもでき、骨折部が骨癒合するまでの骨折治療は、その環境を考えると他の先進国と比べても、環境的に十分な状況にあります。

法律的にX線撮影能力、読影能力、診断能力を持つ整形外科医が骨折を観察し整復し骨癒合の状態を経過観察し骨折の治癒を確認する、ということを一人で完遂するのは法的な環境だけで考えると整形外科医からすると簡単なのでしょう。

骨折部が治癒した後の可動域訓練などの後療法(リハビリテーション)については、医師が直接行うことは医療現場ではほとんどないのでしょうか。

整形外科によっては積極的に「手術せず骨折保存療法をします」と宣伝している整形外科もありますが、そういう整形外科は院内に大体月給13〜25万前後で働ける柔道整復師がおり、協力を得やすいところが多いのを確認しています。

ただ全ての整形外科がこういう協力を得られるもしくは望むわけではなく、整形外科にて「保存療法で経過を診ていたがズレてきたため手術が必要と言われた」という患者さんが後を立たず、骨折の保存「治療」を医師(整形外科医)が忙しい外来、稼がなければならない診療報酬・実績が背後にある中で、法的に治療可能かどうかとは違う目線で見た時に、どこまで患者ファーストで手間暇かけて骨折の保存療法を行えるかというのは、疑問が残ります。

接骨院というと「なんでも保存にする」「手術適応のものでも保存的治療をすすめる」と勘違いしている人がいますが、そんなことはありません。柔道整復師が骨折の治療をしようとした時には必ず医師に対診し、画像を確認した上で柔整師が責任を持って患者さんの同意があった上で治療可能なものについてのみ手を出します。現在ではほとんどが対診して、そのまま医科で治療されていくでしょう。

ちなみに日本整形外科学会のシンボルマークは樹木の湾曲を添え木で矯正する絵柄であり、本来の保存療法の考え方を示唆するものらしいです。