接骨院に来院する夏に多い疾患

帯状疱疹の画像

最近、人の目を引くようにタイトルを考えているのですが、誇大になりすぎないようにしないとなと感じています。タイトルと同じくらい、記事の内容も充実していないと見抜かれますからね!そんなこんなで、ブログは真面目に為になる事をコツコツと書いていこうと思ってます。

今日は、FMってご存知ですかの記事でもご紹介したように、接骨院にくる”外傷に隠れた疾患”は数多くありますが、今回は夏に多い(ほねゆき統計)皮膚疾患をご紹介したいと思います。

 

目次


  • エピソード
  • 診断
  • 振り返り

もくじ(クリック!)

エピソード

この記事を書くに当たって、以前経験した患者さんのことを思い出しました。

34歳の男性会社員Aさんが、ゴルフに出かけた翌日、「背中を痛めた」と言って来院されました。
ゴルフのスイングと共に背中が痛くなったと言います。特に他に思い当たる原因はないようです。

また、Aさんは以前にも同じような発生機序で背中を痛めてほねゆきの接骨院とは異なる整骨院で施術を受けたことがあるとも言います。そのときは背部挫傷という診断(判断)で、「背中の背骨を支える筋肉が出血してる」と言われたようです。

今回も同様の症状かと思い、患者さんはほねゆきの接骨院に来ています。

所見を取ると、左広背筋の表層に軽度の圧痛を認めました。運動時痛も一致していたので、筋挫傷として加療を開始しました。施術後は症状が軽減し、疼痛誘発動作はやめるように安静を指示しました。

ところが、初検日から4日経過して、圧痛部位に一致して皮膚に赤味(発赤)が帯びてきました。

皮膚に見られた発赤は爪でかきむしったようなもので、その発赤の出現と共にその部位がヒリヒリするとの訴えがありました。昨晩(来院から3日後)の夜になって背中が痒くなり、無意識に引っ掻いてしまったかもしれないという事でした。なお、水泡の形成は見られませんでした。

念のためと思って近隣の皮膚科に紹介状を書いて対診しました。

診断は?

皮膚科受診の同日に、皮膚科の先生からのお返事を患者さんが直接持ってきてくれました。

診断は「帯状疱疹」でした。

帯状疱疹は50歳以上の人に多い病気とされてきましたが、近年では20~30歳代の若い年代にも増加していると言われます。

しかし、Aさんを見た時のほねゆきは「帯状疱疹は高齢者に好発し、神経の走行に沿った水疱形成を認める」と言う先入観があったため、ともすればAさんの対診をし損ねるところでした。

たまたまAさんは発赤の出現と共にヒリヒリすると訴え、そのヒリヒリとした痛みが肋間神経に沿ってある程度の幅があったため、もしや肋間神経痛では?と疑いを持ったため対診することができました。初見時に発赤などはなかったので、ダニなどによる痒みなのかなとも思いましたが、結果的に良かったと思います。

無自覚(患者さんがはっきりとした原因を自覚することなく発症したものを、「無自覚に発症」と言います。)のうちに背中が痛くなったと言うのであればまだしも、Aさんのようにゴルフのスイングと共に痛くなったと言って来院されればついつい外傷性疾患と思い込みがちなので注意が必要です。

振り返り

私たち接骨院の現場には、Aさんのように一見、外傷に起因したように見えるものでも実は内科的疾患が隠れて存在している場合も少なくないのです。

患者さんにしてみても、筋や関節を痛めたのだろうと思って接骨院を訪れて来るほどです。とは言え、患者さんが受診(受療)する医療機関(施術所)を選ぶと言っても、患者さんは病気やケガについて知識が少ないのです。

それだけに、接骨院に来てくれた患者さんの全てが自分の業務範囲内の患者さんであるなどと間違っても思ってはいけません。ほねゆきの経験ではむしろ、一見外傷性疾患で来院した患者さんでも比較的高い確率で、内科的疾患が誘因となったものやそれが合併していると思われます。

そのためにも、私たち柔道整復師には業務範囲外となる内科的疾患の鑑別が要求されるでしょう。
厚生労働大臣免許になってからは一般臨床医学の講義が増え、国家試験でも解剖学や生理学、柔道整復学の3教科に次いで多く出題されています。これも、柔道整復師に対して内科的疾患の鑑別ができるようにするための現われの一つかと思います。