“サービス”は要らないという話

すりっっぱの画像

何歳になっても、若い時に叱られた経験というのは忘れられないものです。

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今日は私の失敗談です。

1年目の出来事

これは私が1年目の時に院長に言われてハッとしたエピソードです。

職場によっては、このような社会人としての話を聞けないところもあるようなので、題名でピンとこない人は絶対に最後まで読んでください。

私が柔整師1年目の時に当時勤めていた(無給で研修していた)接骨院で起こった出来事です。

当時、私は同期のやつよりもちょっと気が利いていたので、なんとか他の同期や先輩よりも先に院長に自分という存在を認めてもらうんだと意気込んでいました。

今思えば、自意識過剰でうぬぼれて周りが見えなくなっていたんですね。

当時の接骨院では、朝9時の開院からすぐにゾロゾロと患者さんが15人くらい入ってきて、一斉に低周波をやったり、包帯を変えたり、前回の来院からどうだったかを聞いたり、いきなり忙しくなる状況でした。

待合と施術室で計18坪(36畳)くらいの広さに、患者と柔整師、受付で20人以上がいるという状況なので、それはもうてんやわんやです。

そんな中、私は1年目でしたので特に仕事は任されていなかったのですが、1つだけ言い渡されている仕事がありました。

それは“患者のスリッパを揃えること”でした。

ほねゆきの工夫

今の時代だとせっかくの新卒にそんなことさせるのはありえないのかもしれないですが、当時は本当に奴隷だったのです。

朝は3時間以上かけて院内と院外の掃除を行い、綿包帯を包帯巻き器で巻いて、その日の分のテープを切って準備し、石膏用の新聞紙をすぐ使えるように一枚ずつバラしては折りたたんで…..

あの当時、Twitterがあれば「朝キチィ」と絶対につぶやいていました。

そんな感じの流れで診療が始まれば、今度はスリッパの整理を任されていたのです。

先ほど言ったように私は1年目でイキってましたから、院長から「お前が玄関やれ(玄関でスリッパの整理をしろ)」と言われて、

「これはスリッパ整理だけじゃなくて、患者さんの顔色や動き方、固定具の観察、自分の挨拶の仕方など、全部院長に試されてるんだっ!」と思い上がってまして、

任された業務内容にしては、やりすぎなくらい意気込んでたんです。

患者さんが入ってきては、スリッパを差し出して下履きを整理する。

足が悪い患者さんがいれば、すぐに手を差し伸べて支えたり、履き物を脱ぐ手伝いをする。

治療が終わった患者さんが帰る時には、患者さんが履いてきた靴を覚えておいて、事前に玄関に出しておき、履きづらそうなものであればサッと靴ベラを差し出す。

そんなことをやりながら、院の玄関に入ってきた松葉杖の患者さんの松葉杖の使い方が合っているかどうかコソッと確認したり、

固定の上からでもきちんと指導したように服が着れているかどうか目を配らせたり、

前日に先輩が巻いていた包帯がずれていないかパッと見て確認したり、

固定から出ている手指などの浮腫の具合や皮膚の色調を確認したり、

なんとか自分の経験を増やそうと必死にやっていたのです。

そうやって、何かむくみがすごい患者さんが来たら、受付してる間にコソッと先輩のところに行って「今日、〇〇さんいつもよりむくんでますっ」って言いに行ったり、

「〇〇さんが院外ではもう松葉杖使わずに歩いちゃってます!」とか「〇〇さんに挨拶しても、なんか元気なかったです」とかを言いに行ってたんです。

そうすると先輩は「おっけ」と言って、患者さんと接触した時に「〇〇さん、ほんとはもう外で松葉杖使ってないでしょ?」と言って、患者さんは「なんでわかるんですか?!」とびっくりするわけです。

患者さんは「いやぁ先生には敵わないなぁ」と言って、この人にはなんでもバレちゃうからきちんと言われたことは守ろうと、先輩を信頼するわけです。

そうすると、先輩からすれば私は“使えるヤツ”になり、色々と仕事を任せてくれるようになるんですね。

そうすれば自分が経験できることが増えて、みんなハッピーです。

そんなことを繰り返していた1年目の生意気な浮かれている畜生だったんですが、突然に天罰がくだります。

忘れもしません。

朝からセミがうるさく鳴いている夏の日の事でした。

いつものように私が玄関に立って、来た患者さんに挨拶し、その様子を伺って、異常があれば施術室の人間に報告していました。

その時、診察室の奥から院長がトコトコと私の近くにやってきて、怒鳴ったのです。

「貴様は何言っとんだて!」

私は呆然としました。

なんで….認められようと必死にやっているのに…

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そのまま私は院長室に連れ込まれて、一発ビンタされました。

「自分の成すことぉよーけ考えりゃあ」
(自分がやっていることをよく考えなさい)

とだけ言われ、院長は去っていきました。

院長はどちらかというと口数が少なくて、見て学べというタイプでしたので、今回も何が悪かったのかを言ってくれず、私は途方に暮れていました。

今考えれば当たり前のことなんですが、当時はサッパリわからなかった。

私はそのまま院長室を出て、昼休みに先輩のところに行って聞きました。

「先輩、朝に院長から何を怒られたか分からないんですが、先輩から見て何かおかしいところはありましたでしょうか?」

先輩はしばらく黙った後に、こう話し始めました。

「先週、お前いなかっただろ?」

そうです。この怒られた前の週に、母親の急病で接骨院に行くはずが1日だけお休みをもらったのです。

当時は私は1年目で、「いてもいなくても接骨院の業務は回っていくから休め」と言われてお休みをもらっていました。

先輩は続けます。

「お前が休んだ日に〇〇がお前の代わりにスリッパやってて、大変だったんだよ」

どうやら、いつもは仕事を任されていない私の1つ上の先輩が玄関の係に、その日だけ任命されたようです。

「で、お前がいっつも靴を揃えてしまったり出したりとか、患者の様子を見て連絡したりってやってる動きを〇〇はやらなくて、ただ言われた通りスリッパだけ並べてボケーっと立ってたんだよ。」

話の概要がわかってきた気がします。

私は神妙な面持ちで先輩の話を続けて聞きます。

「それで、△△さん(患者)が帰りがけにいきなり、「今日は靴も出してくれないのね」って怒って帰ったんだよ。△△さんはその日の施術で痛かったからって元々機嫌が悪かったんだけど、それで〇〇が靴を出してないって、イライラしてたのか治療とは関係ないとこで急に起こり出してさぁ。なだめるのに大変だったんだよ。」

私は全容をやっと理解しました。

顔が青ざめる私を横目に、先輩は続けます。

「それでその場は落ち着いて△△さんは帰ったんだけどさ、その後に院長に報告したら、院長が「俺は◻︎◻︎(ほねゆきのこと)にスリッパを出し入れして並べることしか頼んでない」って怒っちゃってさ。」

先輩は私に何か申し訳なさそうに続けます。

「俺も院長に◻︎◻︎(ほねゆき)はよくやってるって言ったんだけど、院長も全然聞かなくてさー」

私は全部理解しました。

まとめ

私がやっていたことはただの勝手なサービスであり、それが私がいなくなったり、私がやらなくなった時には、患者からすればサービスがマイナスになったと捉えられるんです。

今までされていたことを、急にされなくなったら、患者は損をしたと思うんですね。

患者さんに対してのサービスは、継続できるかできないかで、親切なサービスか余計なサービスかが変わってしまうことに十分注意しましょう。

いやぁこれは1年目に勉強になった話でした。