我々と患者さんでは思い浮かべるものが違う

サポータの画像

これは当たり前のことなんですが、我々が想像する一般的な事象と、患者さんが想像する事象とでは大きく乖離(違い)があります。

ほねゆきが思う、施術が上手いかつ会話が上手い先生は、患者さんとの思い違いをなくすことを徹底している傾向にあると思っています。

ただ手先が器用だとか、ただ愛想がいいとか、そういったことはある程度必要だとは思いますが、患者さんとのコミュニケーションが取れていないとそれらのスキルを発揮する機会を逃してしまうかもしれません。

 

目次


  • 患者さんのびっくり行動
  • ほねゆきの対策

 

患者さんのびっくり行動

これはほねゆきが経験した過去の話です。

「膝を捻挫したのですが、なかなか痛みが取れないんです」と言って、17歳の高校生A君が来院しました。

約2週間前に、学校の体育でサッカーをしていて膝を捻ったのですが、疼痛や腫脹が著しく、整形外科を受診したとのことです。その結果、骨損傷は認められず、靭帯捻挫と診断されました。湿布の処方を受けると共に、痛みが治まるまでサポーターで固定するように指導を受けたとのことです。

その先生からは「自費でサポーター売っちゃうと混合診療になっちゃうから自分でサポーターを購入してください。近所の〇〇で売ってるから!」とお話をされたそうです。

その子は母親と整形外科からの帰りにスポーツ用品店に立ち寄り、そこで膝関節用のサポーターを購入しました。

しかし、それからずっとサポーターをつけているものの、痛みはわずかずつしか取れてきません。それで、ほねゆきの接骨院を訪れました。そこでこれまでの経緯を聞き、いざ彼がずっと使い続けていたサポーターを見ると、なんと保温用のサポーターでした。

我々柔整師は普段、関節の運動制限をかける目的や特定の靭帯などへの負担軽減の目的でサポーターを使用することが多いので市販されているサポーターに多くの種類があることを知らない方も多いと思いますが、サポーターには関節を固定したり圧迫したりするものと、保温を目的にするものがあります。

固定用サポーターはマジックベルトなどがついていて、圧迫できるようになっています。また、サポーターの中に金属が入っているなどして、関節の動きを制限したり、補助したりできるようになっています。

一方、保温用サポーターは固定用サポーターに比較して患部を圧迫すると言うより保護するようなものです。サポーターの裏地は触るだけでポカポカするようなものもあります。保温用サポーターでもマジックベルトがついているものもありますが、筒状になっているものもよく見かけます。もちろん布で覆っているだけなので固定力はないですね。

A君は整形外科から固定用サポーターを購入してつけておくように指導されたものの、サポーターには固定用と保温用があることを知らなかったようです。それまでサポーターを使ったことがないのですから、知らないのも無理はありません。

 

ほねゆきの対策

今回、関節を固定することを目的にサポーターの装着を指導したのは整形外科の先生ですが、私たち柔道整復師でもサポーターを装着するように指導する場合がありますね。

ですから、サポーターについて指導する場合は、店頭にはどのようなサポーターが置かれているか、またその患者さんにはどのようなサポーターが必要なのか、我々がまず知る必要があります。

アマゾンや楽天市場でサポーターと検索するか、近所のスポーツショップ(今は死語?)に足を運んでみても面白いかもしれません。

このように、私たちが当然と思って知っていることであっても、患者さんにしてみれば知らない場合だってあるのです。

ほねゆきはこのような思い違いが、大きな事故を産むと考えています。

今回は膝のサポーターであったので、それほど重大な事故にはなりませんでしたが、これが骨折後の固定管理の指導だと思うとゾッとします。

例えば足関節の骨折で、骨折部はだいぶ安定しているんだけど、まだ大きな力がかかると骨が動くかなという時期に、それまで松葉杖で完全免荷だったものを、体重の3割だけ松葉杖を使用した上で許可したいとします。

その時にみなさんはどう伝えますか?

「今日から3割まで体重をかけていいですよ。」

これで全て伝わると思うでしょうか?伝わりませんよね。このように文字に起こすとすぐにダメだなと理解できるのですが、意外と現場で口頭だとこれで全て伝わっていると思ってしまう人が多いのです。

ほねゆきが伝えるとすると、こう言います。

「今まで松葉杖を使って怪我をした方の足に体重を全くかけないようにしていましたが、折れた骨が少しづつくっついてきているので、今日から少し体重をかけていきます。松葉杖を使うのは今までと変わりません。松葉杖をつくのと同じタイミングで怪我した方の足も同時に前に出します。怪我をした方の足には全部の体重を乗せてはいけません。体重の3割、〇〇kgまで足を踏み込みます。実際に体重計を置いて少しずつ踏み込んで〇〇kgがどの程度かやってみてください。それ以上は体重をかけてはいけませんし、ケンケンや松葉杖を使わずに歩くことはやめてください。体重をかけすぎると骨がずれてしまいます。よく、一瞬だけ荷重すれば3割くらいになるだろうと言って、松葉杖を使わずに歩こうとする人がいますが、松葉杖を使わずに歩いた時点で瞬間的には10割の体重がかかってしまいます。骨がずれる時には痛みがありませんから気をつけてください。」

といったところでしょうか。みなさんならどう伝えますか?もっとこういうふうに言った方がいいとか、他の手段で伝えた方がいいとかご意見あればご指摘ください。

まぁ、いくら言っても聞かない人はいますので、そのような人は最初から診ない、もしくは全てこちらで管理するのがいちばんかもしれませんね….

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2件のコメント

私は装具の選び方に関しては何パターンか携帯で調べて写真をお見せするようにしています。

例えば今回のような靭帯損傷の方ですと、
「患部を動かすと負荷がかかり過ぎて治りが遅くなるので患部の固定と安静をはかるために装具をします。」
という前置きをしておいて、骨組みが入っているものや、マジックテープで固定できるようなものの画像を実際に見せ、それを親やその子に写真を撮ってもらっています。

また荷重に関してはほねゆきさんと同じように体重計で目視で確認できるようにしながら感覚を掴んでもらっています。
また患者様への説明の際は骨がズレた時の危険度や怪我の怖さを説明して恐怖心を少し煽るような説明を加えています。

助野さん
いつもありがとうございます。
先生のような丁寧な対応が、患部の治癒には不可欠だと思います。整形外科の超多忙な外来の中ではそのような対応は不可能に近いので、そういったところでも接骨院(柔道整復師)の価値はあるものだと思います。

接骨院にいいサポーターの在庫を置いておくのも大変なので、価格と機能性を加味した上で先生のように商品をすすめるのはとても良策かなと思います。

体重の話も同じですね。

恐怖心を少し煽るのは私も相手の反応を伺いながら行うことがあります。違うことをしたら、こんな悪いことがありますよと、具体例を出すのが大切ですね。

読者の勉強にもなりますので、是非またご意見をくださると嬉しいです

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