先生、鋭角位と鋭角屈曲位の違いを説明できますか?

肘関節の可動域を表した画像
ほねゆきのアカウントでの投票結果。集計時間24時間。投票数26アカウント。

ほねゆきのツイッターアカウントでアンケートを取ってみたところ、意外と答えがバラバラになりました。ほねゆきが思う答えは「鋭角位」と「鈍角屈曲位」です。よって、正答率は38.5%でした。53.8%で最も投票が多かった「鋭角屈曲位」は残念ながらふさわしくないとほねゆきは思っています。言葉って難しいですよね。

ほねゆきも以前、これらの言葉が分からなくなった時期がありました。これはほねゆきが都内の柔整学校で柔道整復学の授業を担当させていただいて1年目の時の会話。

柔整学生さん

先生、顆上骨折(伸展型)の固定肢位は肘関節鋭角屈曲位ですよね?

ほねゆき

…鋭角屈曲位?鋭角を屈曲して…。いやぁ、肘90°より曲げた角度だよ!

柔整学生さん

ん、じゃあこの「顆上骨折(伸展型)の固定肢位は肘関節鋭角屈曲位である」っていう選択肢は正解ですか?

ん….どうだろう….。

ふいに言われた「鋭角屈曲位」という単語に素早く反応できず、慌ててしまいました。

今回は、「鋭角位」「鋭角屈曲位」「鈍角位」「鈍角屈曲位」について書いていこうと思います!

今回の記事で得られる知識はこちらです。


  • 結論
  • 「鋭角」と「鈍角」とは?
  • 「鋭角位」と「鈍角位」とは?
  • 「鋭角屈曲位」と「鈍角屈曲位」とは?
  • 「鋭角(鈍角)伸展位」とは言わない?
  • 柔整師や他職種で実際の現場ではどうつかわれているか?

時代は令和です。長年の疑問を解決するときが来ました…

結論から言うと

「鋭角位」= 90°屈曲位<145°屈曲位(最大屈曲位)= 「鈍角屈曲位」
「鈍角位」= 0°<90°屈曲位 = 「鋭角屈曲位」

これらの言葉はどんな違いによって生まれるか。

肢位(屈側の角度)をみているか可動域(伸側の角度)をみているかの違いによって区別します。

厳密に言うとこれらの「鋭角位」、「鈍角位」、「鋭角屈曲位」、「鈍角屈曲位」の意味は辞書にも教科書にも文献にも詳しく定義が書かれていません。つまり、答えはありません。しかし、「一般的に広まっている言い方」はあります。

「日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会(1995 年)」において「関節可動域表示ならびに測定法」 が発表されており、体の肢位(関節角度)を言う際にはしっかりと角度で言うことが望ましいです。

しかし、「角度は限定しないけど90°よりは曲げた肢位」を言いたいときに、やはり上記のような言い方があった方が便利です。便利がゆえに、現在も現場や一部の書籍で使用されている単語なのでしょう。

また上記の言い方は(これも正確な定めはありませんが)ある程度、肘関節と膝関節に限定して言われているようです。これについては理由がわかりません。単に肘関節と膝関節が関節角度の表現をされる機会が多いということもあるかもしれません。

今回は「一般的に広まっている言い方」を説明します。ほねゆきが独自にとった(信頼性はないかも笑)アンケート結果で、だいたい10人中8人はこういう認識だなという言い方です。

「鋭角」と「鈍角」とは?

この話題を取り上げるにあたって急に「鋭角」や「鈍角」という単語が難しく見えてきました。骨折の整復の手立てを考えるのは好きなので、実際に目の前にいる患者さんのエコーやレントゲン画像を見てあれこれ考えるのは得意なんですが、こういう、なんと言いますか、漢字とにらめっこするのはどうも性に合いません。

ということで、まずは書斎にあった広辞苑を手に取り調べてみました。

「鋭角」…直角より小さい角。
「鈍角」…90度よりも大きく、180度より小さい角。

「広辞苑」(第六版)
幼稚に思えるかもしれませんが、日常でよく使われる言葉ではないため確認です。

90°は「直角」と呼ばれ、鋭角にも鈍角にも含まれません。当たり前ですが、「鋭角(グレー塗り)」の反対角は「鈍角(塗りなし)」で、逆も同様です。これを体の可動域に当てはめればいいんですね。

「鋭角位」と「鈍角位」とは?

「鋭角位」や「鈍角位」といった言い方をした場合は、「関節の屈側の角度が鋭角か鈍角か」で判断します。静止したものをみたときの言い方です。

このイラストの肢位は「肘関節鋭角位」となります。

例えば肘関節において、「関節可動域表示ならびに測定法」に照らして定義させるとこのようになります。

「鋭角位」…90°屈曲位<145°屈曲位(最大屈曲位)
「鈍角位」…0°<90°屈曲位

屈側の角度をみればいいということですね!

「鋭角屈曲位」と「鈍角屈曲位」とは?

「鋭角屈曲位」や「鈍角屈曲位」といった言い方は、「関節をどれだけ屈曲させたか」で判断します。屈曲という動作をみたときの言い方です。

鋭角の角度の分だけ屈曲させれば鈍角位になりますし、鈍角な角度の分だけ屈曲させれば鋭角位になります。難しいでしょうか?

このイラストの肢位は「肘関節鈍角屈曲位」です。

例えば肘関節において、「関節可動域表示ならびに測定法」に照らして定義させるとこのようになります。

「鋭角屈曲位」…0°屈曲位<90°屈曲位
「鈍角屈曲位」…90°<145°屈曲位(最大屈曲位)

伸側の角度をみればいいということですね!

鋭角・鈍角伸展位、鋭角・鈍角回内外位とは言わない?

屈曲の反対は伸展ですが、「鋭角伸展位」や「鈍角伸展位」とは言いません。なぜかというと、ほねゆきが考えるに「鈍角に伸展できる関節が体にあまりないから」です。ビックリ人間でもない限り、90°以上伸展できる関節はありません。(=「関節可動域表示ならびに測定法」では伸展可動域に90°を超える角度はありません。)

前腕回内外や頸部回旋の可動域・肢位について、鋭角に動かすことはできますが、「鋭角」、「鈍角」といった表現は使いません。前述したように、ある程度、肘関節と膝関節に限定して使われているようです。

学生の皆さんはこのブログを読んで、「前腕鋭角回外位」などとは言ってはいけません。嫌われるだけです。(笑)

ほねゆき

ちなみに、最初の学生が聞いていた「顆上骨折(伸展型)の固定肢位は肘関節鋭角屈曲位である」という選択肢は「正しくない」というのが正解です。「鋭角屈曲位」を「屈曲して鋭角になっている状態」と学生さんは間違えないように!!

柔整以外の職種の方がどういうふうに言ったり書いたりしているのかも気になりますね〜。