「麻薬、大麻又はあへんの中毒者」は柔整師にはなれませぬ。

結核自由

こんにちは、外傷柔整師ほねゆきです。

さて、梅雨が舞い戻ってまいりました。気象庁はすでに梅雨明けを宣言したようなので、正確にはただの停滞ぎみな前線がきているのでしょう。(笑)

気温は少し下がり、湿度はグンとあがりました。気圧も下がっているため、気分も幾分さがっております。

通ってる患者さんも色々と忙しい方が多いようで、毎年梅雨の時期はなにかと気分が落ち込んでいる患者さんが多いように思います。

そんな時こそ、患者さんを元気づけるようなウワベのトークではなく、しっかりと患部を診ているということを毎回の治療で示さなければならないと思います。

うっかり前回治療した内容を忘れていたり、前に患者さんから聞いていた患部に関する話をもう一度聞いてしまったりすると、小さな不安感を与えることになり、大きく治療の結果に響くかもしれません。

さて、今日はほねゆきが「関係法規」の授業を受け持っていた時の話です。

欠格事由とは

さて、柔整師の皆さんはこの「欠格事由(けっかくじゆう)」という言葉は皆聞いたことがあると思います。

説明できますでしょうか?ググるとこう書いてあります。

欠格(けっかく)とは、要求されている資格を欠くことをいう。欠格となる事柄を、欠格事由(けっかくじゆう)という。

webio辞書

まぁ間違っていないようですね。簡単に言うと、「この項目に当てはまれば柔整師にはなれませんよー!もしくは、資格持ってる人は剥奪しますよー!」というものです。

もちろん、医師にも看護師にも、医療職の国家資格のほとんどにこれが法で定められています。

柔道整復師法をあらためてみてみましょう。

第四条(欠格事由)
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

 心身の障害により柔道整復師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
 罰金以上の刑に処せられた者
 前号に該当する者を除くほか、柔道整復の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

昭和四十五年法律第十九号 柔道整復師法 抜粋

矛盾に気づいた経緯

関係法規の教鞭を執っていたほねゆきは毎年、不思議に思うことがあります。講義の予習がてらいろいろと調べてはみるものの、いまだに首を傾(かし)げるばかりです。

何を不思議に思ったのか、最後まで読むと分かります。

ことの発端(ほったん)は、上記柔道整復師法第4条2号の文章です。

第四条(欠格事由)
次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

昭和四十五年法律第十九号 柔道整復師法 抜粋

「麻薬」「大麻」「あへん」の中毒者は、柔道整復師の欠格事由に該当するというものです。

これを聞いてどれだけの人が引っかかるでしょうか。

ほねゆきはお師匠さんに以下のようなことを”臨床の教え”として教わりました。

お恥ずかしい言い回しですが、Twitterなので許してください🙏

ほねゆきは人に教える立場ということもあって、学生さんにこの第2号の文章を伝えるにあたって「麻薬」や「大麻」、「あへん」がなんであるかくらいは軽くでも調べないといけないと思ったのです。

そこで、20年前くらいにほねゆきは辞書で調べてみました。その結果は大体このような感じであったと思います。

【麻薬】
麻酔作用を持ち、常用すると習慣性となって中毒症状を起こす物質の総称。阿片・モルヒネ・コカインの類。麻酔剤として医療に使用するが、嗜好的濫用は大きな害があるので法律で規制。

広辞苑第7版

【大麻】
アサから製した麻薬。栽培種の花序からとったものをガンジャ、野生の花序や葉からとったものをマリファナ、雌株の花序と上部の葉から分泌される樹脂を粉にしたものをハシシュといい、総称して大麻という。喫煙すると多幸感・開放感があり幻覚・妄想・興奮を来す。

広辞苑第7版

【あへん】
ケシの未熟な果殻に傷をつけた時に分泌する乳状液を乾燥して得たゴム様物質。モルヒネ・コデイン・パパベリン・ノスカピンなど種々のアルカロイドを含み、鎮痛・催眠作用を呈する。代表的な麻薬であり、日本では、あへん法(1954年制定)により、阿片の採取・所持・輸出入・売買を規制。

んんん?ほねゆきは矛盾に気づきました。

麻薬とは?

なんと、麻薬の説明文の中に「阿片(あへん)」という単語がでてきているではありませんか!

ここで、さらに麻薬についてググります。

麻薬(まやく、narcotic)とは、通常はモルヒネやヘロインのようなケシから生成される麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指すが、法律上の用語として、法律で規制された薬物を指して用いられることもある用語である。アメリカ合衆国やカナダの規制法によればオピオイドだけでなく、コカインや大麻を含む。日本ではさらに麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)における、「日本の法律上の麻薬」の語が、それらとも異なって使用されている。

wikipedia「麻薬」より抜粋(一部改変)

どうやら「麻薬」という言葉は、特定の薬物を指す言葉ではない場合もあるようです。①〜③の定義にナンバリングしましたが、これを図にするとこうなるようです。

なんと!アヘンはどの定義によっても麻薬に含まれますね。確かに上記のアヘンの説明文をみても、「代表的な麻薬であり〜」と書いてありますね。

対して、「大麻」は定義①のいわゆる狭義の「麻薬」には当てはまらないようです。

しかし、定義③の日本の麻薬取締法には「大麻」も「麻薬」に含まれるといいます。

困りました。。。(笑)

「あへん」は「麻薬」のうち

結論としては、厳密に言葉を使い分けると、“「あへん」は「麻薬」に含まれる”ということのようです。

つまり、柔道整復師法第4条2号の「麻薬、大麻又はあへんの中毒者」という文章は食べ物で例えるなら、「くだもの、野菜又はリンゴ」といったところでしょうか。

分かりづらいですね。(笑)

この話を授業でするんですが、クラスに30人いたら2人くらいしか笑ってくれません。。。

要は「麻薬又は大麻の中毒者」と言ってしまえば事足りるのです。

なぜ、わざわざ「アヘン」と書いたのか。この辺までは調べていませんが、日本においてはアヘンの歴史は相当に古いようで、「麻薬」や「大麻」といった単語とは別に記載して、特にこれを強調して明文化したのではないかと推測します。

なんにせよ、違法とされている薬物に手を出す人に大事な体は預けたくないですよね。

細かいこと言ってすみませんでした。(笑)