ビタミンDと紫外線量

紫外線量のグラフ

みなさんはこの歌を聞いたことがありますか?

多くの幼児教育現場で、この歌は取り入れられていると思いますので、超有名な歌でしょう。1961年に製作されたといいますから、もう半世紀も愛される名曲なんですね。

手のひらを太陽にすかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮

ミミズだって オケラだって
アメンボだって
みんなみんな生きているんだ
友だちなんだ

『手のひらを太陽に』作詞:やなせ たかし 作曲:いずみ たく より一部抜粋

やなせたかしさんはアンパンマンの作者として有名ですが、実はこの歌の作詞をされているんですね。やなせさんが寒い中、不安に駆られながら仕事をしている時に、暖を取ろうと電気スタンドに手をかざしたら手が赤く見えたことから、このような歌詞が生まれたそうです。

ほねゆきはこの歌を2〜3歳の頃に初めて聞いて、「オケラってなんだろう?」とずっと疑問に思っており、その後に公園の砂場で本物のオケラを見た時には感動しました。

もちろん、大人になってからもこどもの幼稚園などでこの歌を聞く機会はありました。

大人になったほねゆきの脳内では「オケラってなんだろう?」というかわいい思考は働かず、「本当はビタミンD合成のために紫外線を浴びることを推奨するために書かれた歌詞なのかなー」などと考えてしまいます。

実際はそんなことないと思いますが、その時によってこんなにも考えることが変わってしまうというのは面白いですね。

さて、今日はそんなビタミンDと紫外線についてのブログです。

ビタミンDと骨形成

ビタミンDが骨形成と深い関係を持つことは、柔整の生理学の教科書にも書いてありますから皆さんご存知でしょう。ビタミンDの代謝がうまくいかないと、骨折りスクは上がると言われています。

骨粗鬆症-研究と臨床の最新動向10月第1土曜特集 247巻1号 2013年10月5日 p.108-113より引用

ビタミンDはコレステロールから合成される脂溶性ビタミンですが、ヒトは合成できません。ステロイド骨格は同じですが、側鎖が異なるD2からD7までのプロビタミンDがあります。

プロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が皮膚上でプレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)となり、体温(熱)でビタミンD3(コレカルシフェロール)に異性化(原子の組成はそのままに原子の配列が変化して別の分子に変換すること)します。

その後にさらに代謝が進み、活性ビタミンD(カルシトリオール)となり、腸内でカルシウム吸収が促進されるわけです。

国立環境研究所 地球環境研究センターHPより画像を引用

化学式を覚えている人は少ないかもしれませんが、柔整師である皆さんはこの流れはよくご存知ですよね。

ビタミンDが何をしているかというと、当たり前ですが遺伝子の発現調整をしているんですよね。

小腸や肝臓の上皮細胞の核内にあるビタミンD結合蛋白で調整されます。それに活性ビタミンDが結合すると、カルシウム輸送蛋白の合成を促進し、腸管からのカルシウム吸収と、腎臓での再吸収をが促進されるのです。骨からの血中へのカルシウム放出も促進されますね。

どの程度のビタミンDが必要なのか

ビタミンDが多い食材はきのこ類などということはよく耳にしますが、食材中にどのような形でビタミンDが含まれているのかはよく知りません。

しかし、はっきりしているのはビタミンDを食材から摂取し、適度な量の紫外線を浴びないといけないということです。では、どの程度のビタミンDが必要なのでしょう。

調べてみると、日本人が必要とする1日当たりのビタミンD量は明らかではありませんが、外国人を対象とした外国の文献によると1日当たり最低で15 µg という報告があるようです。

よくわからない単位ですが、ヒトが完全な栄養吸収能力を持っていたと仮定すれば、1日にサンマを1匹食べれば、だいたい含まれるビタミンDは15 µgなので、それで事足りるそうです。

どの程度の紫外線が必要か

国立環境研究所 地球環境研究センターHPによると、人体 (皮膚) で生成されるビタミンD量は次式で表すことができるそうです。

QD = qe・Stype・Sder・tex・IVD

えーっと、訳がわかりません。(笑)

詳しくはHPを見てほしいですが、人によってスキンタイプなどといった数値があって、その数値や紫外線の強さ、照射時間などを掛け合わせると算出できるようです。

そして、同HPにはさらに興味深いグラフがありました。

タミンD生成紫外線量及びビタミンD生成量(2021/5/21のデータ)
国立環境研究所 地球環境研究センターHP

これはつくば局のデータですが、その日の日照具合で10分浴びたらこのくらいのビタミンDが生成されるよというグラフです。1200㎠とか600㎠というのは照射する皮膚面積のことですね。

手のひら1枚で120〜140㎠ですから、顔と両手掌で600㎠、半袖で過ごしていたらだいたい1200㎠くらいのようです。

この日のグラフをみると、昼の12時に10分間、半袖で外で元気に過ごすと10μgの生成が計算では期待できるということですね。

残りの5μgを何か食べればいい訳ですが、これは卵黄一個分だそうです。なので皆さんも、天気が良い日は半袖でいっぱい外で遊んで、帰ったら卵かけごはんを食べて寝ましょう。(笑)

患者さんにビタミンDについて聞かれたら、教科書に書いてあることをはなすだけではなく、このような有益なサイトをすすめてみてもいいかもしれません。