陳旧性足関節靭帯断裂の悲惨な結末 ①整形外科編

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どうも、外傷柔整師ほねゆきです。

最近は本当にテレビ番組を見なくなったので、つくりあげられた世論で生きる人の意見を聞く事が少なくなりました。

情報の偏りは必ず誰にでも起こります。

例えば、ほねゆきは接骨院の運営を行っている傍ら整形外科病院の当直に入っていますが、その病院にいる専門医の先生方から様々なお話を聞きます。

「この症例は、こうだから必ず手術適応なんだ」
「この所見は見落としちゃダメだよ」
「このような症例は必ずMRIでこの評価をしないといけないんだ」

個人間での関係性ができており、ほねゆきが質問せずとも色々とタメになるお話をしてくださいます。

しかし、たまにふらっと他の病院に出向いて整形の先生にお話を聞くと、ニュアンスが少し違うことを言われる事があります。

「この症例は、私は必ずしも手術適応とは思わない」
「この所見があったとしても臨床上はそれほど気にしなくていい」
「うちでは、時間かかるからMRIは取らないほうが多いよ」

これも非常に勉強になるお話が聞けて、さらに世界が広がります。

仮に、ほねゆきが普段勉強させていただいている病院だけで勤務していれば、「整形外科の先生方はこんなことも考えていらっしゃるのか!」と、その情報だけでほねゆきの脳が出来上がる可能性が高いですよね。

このときに、「自分が知っている情報は常に偏りがある情報だ」ということを意識していれば、「いや、同じ整形外科の先生でも違う意見があるかもしれない」とか「これはこの病院でのルールなだけで、他ではちがうんだよね」と思えるわけです。

なので、色々な方から話を聞くということは大事なんですね。

さて、今日は陳旧性足関節靭帯損傷についてです。

治療法に関してもそうですが、「こんなこともあるんだ」とひとつのエピソードとして読んでいただければいいかなと思います。

この記事は、足関節捻挫の治療の危険性を伝えることを主旨としたものです。実際にあったエピソードを元に、会話を含めノンフィクションで綴りました。特定の団体や個人、治療法や検査を否定する目的は全くありませんので、そのような誤った理解をされないようにお願いします。

問診までの話

桜が咲いて、アスファルトがほんのりピンクに色づいてきた頃の話。

ほねゆきの接骨院に制服を着た男の子がお母さんと一緒に来院されました。

ガチャ….(ドアが開く音)

お母さん

すみません、初診で足首の捻挫なんですが診てもらえますか?

ほねゆき

それは大変ですね。診るにあたって説明しないといけないこともありますから、どうぞ中に。

男の子

よろしくお願いします。

ほねゆきは接骨院の問診票と説明文を渡し、お母さんの了承があった上で問診となりました。

問診票で分かった患者さんの基礎情報は以下の通りです。

14歳(中学2年生)、男
受傷日:3月28日
今回の傷病の受診歴:〇〇整形外科、△△整骨院
運動歴:バスケットボール(計6年程度、現在バスケ部)
病歴:喘息(現在服薬なし)
症状のある部位(絵):左下腿遠位〜足背にかけて丸で囲まれていた

すでに、下腿近位〜趾尖までのギプスシャーレ固定をされ、松葉杖歩行となっていました。

松葉杖には「△△整骨院」というラベルが貼られており、腋窩部と手部の包帯は黒く汚れ、ほつれてボロボロになってました。

問診票には〇〇整形外科の名前も書いてあり、どうやら経過が長いようです。

気合を入れてしっかりイチから話を聞いた方がよさそうですね。

いざ問診

なるべく当時の会話をそのまま記載します。文字にすると長いですが、興味のある方は読んでみてください。

実際は諸々含めて、30分程度の問診時間だったと思います。

ほねゆき

さて、問診票には整形外科と接骨院にすでに受診していると書いてありますが、今日はどうして当院へ来られたのですか?

お母さん

怪我をした当日に家の近くの〇〇整形外科クリニックを受診したんです。そこでレントゲンを撮っていただいて、骨折はないから捻挫だろうと言われました。そこで治療をしてもらっていたのですが、なかなか良くならなくて。勝手に△△整骨院に行ったんです。でも、そこでもあんまり良くならなくて。友達にここのことを聞いて来た次第です。明日も△△整骨院に治療に来るように言われているんですが、ここに来ることは何も言ってません。

ほねゆき

それは大変でしたね。もう少し具体的にお聞きしますね。まず、いつ、どうやって怪我をしたんですか?

男の子

1ヶ月前に、(バスケの)ゴール下でこぼれたボールを取ろうとジャンプして、着地で左足をこっちに(内反に)捻りました。

ほねゆき

今回以外、今までに捻挫は経験がありますか?

男の子

確か、小6の時に捻って病院にいったと思います。その後は、何回か捻りましたけど、歩けてたので全然病院に行くまでではなかったです。

ほねゆき

その小6の時は、左足ですか?その時はどこが痛くて、どんな治療を?

男の子

んー、どっちだったかなぁ。左右は忘れたんですけど、外くるぶしの方が痛くてブワーって腫れてたと思います。

お母さん

あの時も確か左足だよ!バスケで捻って、今回とは違う整形外科に行きました。そこで、エコーで足首の靭帯が2本切れてると言われて、2週間くらいサポーターをして、リハビリもやってもらって1ヶ月ちょっとくらいで治ったと思います。

ほねゆき

ありがとうございます。足首のうちがわは痛くなかったんですね?

男の子

うちがわは大丈夫です!外くるぶしの下の方でした。

ほねゆき

小6の時に捻ってから今回怪我をするまで、何回か捻ったということですが、左足首に痛みや違和感、緩みだったり、捻りやすいなと感じることがありましたか?

男の子

合宿とかでいっぱい動いた時以外は、あんまり痛みはなかったんですけど、走ってて切り返しの時とかにクキッていうのは(捻るのは)ありました。

ほねゆき

サポーターとかはしていなかったということですね?

男の子

なんか1回だけ、チームのトレーナーの先生にサポーター勧められてやってたんですけど、めんどくさくて全然やってなかったです。しなくても、(バスケ)できてたんで💦

さて、ここまででも割と多くの情報がありましたね。

分かった話をまとめると、次の通りです。

左足関節の捻挫は他院(整形外科1院、整骨院1院)の治療をすでに受けており、何らかの理由で患者さんが満足していない。現在もその整骨院に通っているが、ほねゆきの接骨院へ来た。小6の時(約3年前)に左足関節捻挫の既往があり、整形外科受診するほど症状があった。治療後は自覚症状が落ち着いたが、足関節の動揺性は残存していた。

まだまだ問診

さて、既往についてはある程度詳細が判明しましたので、次は今回の受傷について聞かなければなりません。

ほねゆき

なるほど。だいたい今回の怪我の想像がついてきました。では今回の怪我についてですが、まず〇〇整形外科に行ってレントゲンを撮ったと。レントゲン以外になにか検査はあったんですか?

男の子

いえ、レントゲンだけです。

お母さん

すいません、あの時は仕事で忙しくて、この子だけタクシーで〇〇整形外科に行かせたんです。私は説明をあんまり聞けてなくて💦

ほねゆき

お子さんは未成年ですから一緒に行かないとトラブルが増えるので、あまりよくないですが、お仕事も忙しいでしょうから、仕方がないところもありますね。

レントゲンは何枚くらい撮ったか覚えていますか?

男の子

2枚撮ってもらいました。

ほねゆき

それで、骨折はないと?

男の子

はい。骨は綺麗だから、捻挫でいいでしょうって言われました。それで、痛くて歩けないって言ったら、ギプスを巻くって言われて、その場で先生が直接巻いてくれました。巻いた後に、なんか熱かったんですけどカッターで半分にしてから、包帯です。それで、松葉杖でした。

ほねゆき

そのギプスは、ずっと付けていた?それとも、家で自分で外したりしていましたか?

男の子

んー、特に先生から何も言われなかったんですけど、腫れが増えたら嫌なので自分では外しませんでした。後でリハビリの先生に聞いたら、外しちゃダメだよって言ってました。

ほねゆき

松葉杖や固定はどのくらいする予定だと言われたんですか?それで、その後はどのくらいの頻度で通ったんですか?

お母さん

2週間くらいすればいいって言われたんだよね?通院は毎日来た方がいいって言われたみたいで、ほとんど毎日、週に3、4回行きました。

ほねゆき

〇〇整形外科では、行って何をしてたんでしょう?

男の子

診察券出したらリハビリのベッドに呼ばれて、リハビリの先生がギプス外して、ふくらはぎのマッサージと電気やってもらってました。

ほねゆき

先生の診察があったり、レントゲンをまた撮ったりはしましたか?

お母さん

怪我してから2週間経った時に、また診察するって言われてたみたいで、私も一緒について行って、その時にエコーを見てもらいました。けど、なんかエコーでまだ靭帯がついてないって言われたんです。

男の子

その時はだいぶ腫れは減ってはいたんですけど、動かしたら足首のうちがわが痛くて、まだ足つけなかったんです。で、エコーみたら、関節がまだグラグラしてるって言われて…

お母さん

それで、あと2週間ギプスするって言われて、なんか大丈夫なのかなと思って。あそこの先生は優しいし、好きなんですけど…。

さて、今日はここまで。

ここまで読んで、どんな患部の状態を想像しますか?また、こういった状況に何を思いますか?

このあとのエピソードはまた次回の記事です。