傷害保険「接骨院での診断書の書き方」①

診断書の画像

どうも、最近は新しい記事の作成に取り組むほねゆきです。

梅雨のにおいがしてきて、湿度も上がっており、みなさんの院でも湿気対策が行われていると思います。

患者さんが院内に入ってきた時に空気がジメッとしていたら嫌ですよね。それに、ギプスや包帯などの衛生材料も湿気は天敵です。

ほねゆきが研修していた時の接骨院では、裏の物品質に包帯や枕子、テープなどの材料を置いていたのですが、それが梅雨になるとカビるんです。

物品質には窓がなかったので、気を抜くとカビてました。もちろん、カビは洗濯しただけでは色素は落ちませんから廃棄するか、洗濯して漂白しなければいけません。

当時、ほねゆきは心の中で「窓作ったりカビ対策しろよ」と思っていましたが、もちろんそんなこと言えません。

そんな環境なのに先輩からは「カビさせたらお前のせいだからな」と言われるのです。

新人であったほねゆきは、必死に乾燥剤を近所の問屋から貰ってきて配置したり、使わない包帯も定期的に伸ばして天日干ししたり、大変だったのを覚えています。なんせ、包帯だけでも数百巻ありますから。

みなさんは、接骨院を作るときは衛生材料置き場の通気性は、よくよく考えた方がいいかもしれません。

では、傷害保険(患者さんが任意で入っている怪我に対する保険)の診断書についていくつかの記事に分けて書きたいと思います。

患者さんから書類を受け取る時

よくみる診断書の書式です

傷害保険などに加入した患者さんは、画像のような診断書を持って来ることがあります。

本来、診断書や施術証明書などというものに書式の決まりはないのですが、損害保険会社や加入している傷害保険の内容によって異なります。

その多くは日常生活においてけがをして医療機関(接骨院を含む)に通院や入院した場合、保険金が支払われるものです。

患者さんが入っている保険の種類によっていろいろですが、「怪我したら5万円出します」というものもあれば、「通院日数に応じて、1日につき2000円出します」というものもあります。

入院に対して支払われるものや、骨折でなければ保険金がおりないものもあるので、患者さんから「診断書を書いてください」と言われた場合は、「今回の怪我や通院が保険金支払の対象になっているかしっかりと確認しましたか?」と一声かけるのが吉でしょう。

ほねゆきは過去に、「診断書を書いて欲しい」と言われてその通りに書いて渡したら「保険金がおりなかったので診断書料を返してほしい」と言われたことがあります。

患者さんが自分の加入している保険の内容をしっかり確認せずに、診断書だけ取り寄せたんですね。

もちろん、診断書はすでに発行していますから返金はお断りしましたが、使わなかったからお金を返してもらえるだろうという患者さんの思考にはびっくりしたことを覚えています。

診断できないのに診断書

ほねゆきは言葉遊びだよなと思っていますが、柔道整復師は診断ができません。なので、もちろん診断書は書けません。

では、実際に上記のような『診断書』という書式の用紙を持ってきたらどうすればいいでしょうか。

1) 障害保険金請求のための書類には「施術証明書」が用意されていない

冒頭の画像には、「診断書」と記載されていますね。

また、末尾には「上記の通り診断いたします」とか、「病院名」、「医師氏名」が並んでいます。

患者さんはそんなこと知りませんが、私たち柔道整復師が施術の事実について証明できるのは、施術証明書であって診断書ではありません。

でも、損害保険会社に保険金請求を行う際の書類には診断書しかなく、わざわざ柔道整復師用に施術証明書は用意されていません。

従って、患者さんが通院したところが医療機関であろうが接骨院であろうが、損害保険会社からは例外なく診断書に記載してもらうよう患者さんに告げられます。

ですから、柔道整復師が施術内容を証明しようとする場合、この用紙(診断書)を用いることになります。

わざわざ、保険会社に「あの、柔道整復師は診断はできないんです…」と言わないようにしましょう(笑)

 

2) 「施術証明書」として交付するのであれば、必要な部分を訂正する

最も合法的な事務としては、上記画像の冒頭にある「診断書」と書かれた部分に二重線を引き、訂正印を押印した上で「施術証明書」と訂正します。

また、末尾にある「上記の通り診断いたします」と書かれた「診断」の部分に二重線を引き、訂正印を押印した上で「証明」に訂正します。

同じ要領で、「病院名」は「施術所名」、「医師」は「柔道整復師」に訂正します。めんどくさいですね…。大変ですね。

そうすると、証明欄の中にも不適切な部分があります。

「初診日」は「初検日」に。「初診」は「初検」に。「他の診断書の発行先」は「他の施術証明書の発行先」に。

それぞれに二重線を引いて訂正印を押印していると、訂正印だらけの書類になりそうですね。

河野太郎(元大臣)さんが印鑑不要論を提唱して、公文書ではだいぶ廃止されたようですが、民間ではどうなんでしょうね。提出先に確認してみてもいいかもしれません。

「診断」のままでよい

ずいぶん昔の話になりますが、ある損害保険会社の人から聞いた話では、接骨院で施術に従事する人は柔道整復師であることは最初から分かっているとのことです。

そりゃそうですよね。保険会社の人もそのへんの違いについては知っているでしょう。

なので、「診断書」と書かれた部分をはじめ、訂正を要する部分を一つずつ「施術証明書」などと適切な用語に訂正してもらっても良いのですが、わざわざ訂正してもらわずに交付してもらって構わないとのことです。

損害保険会社としては、必要な語句の部分をいちいち訂正してもらうよりも、証明書の中味を詳しく正確に書いてもらった方が有難いとのことでした。

損害保険会社の人からこのお話を聞くまでは、ほねゆきもその都度「診断書」という部分を「施術証明書」に訂正するなどしていましたが、それ以来は一切訂正を加えることなく交付しています。

みなさんも、それでいいと思います。この書類の本質は言葉遊びではなく記載内容ですからね。

 

3) 柔道整復師が書いたと思われる証明書の内容であること

養成施設をはじめ柔道整復師の団体でも、このような証明書の記載について講義(講習)が行われていないせいでしょうか。

損害保険会社の人から聞く話では、「果たして柔道整復師が書いた証明なのだろうか? もしかして、患者さんが書いたのでは?」と思われる内容のものが多いとのことです。

具体的には「疼痛」や「腫脹」など専門用語を用いずに書かれ、例えば「肩が痛くて挙がらなかった」などと言う記載だけのものも少なくないと言われます。

患者さんが書いたレベルと同等だなんて、恥ずかしいですね。

この診断書は損害保険会社で審査されますが、審査には損害保険会社嘱託の医師が見て審査します。

その際、医学的に不自然な内容であったり必要事項が記載されていない場合は、改めて損害保険会社から施術所に対して問い合わせが行われます。従って、医学的根拠に基づいた(?)内容にすべきです。

難しく考えなくても、教科書に書かれている専門用語を用いて、義務教育での国語の知識を総動員して書けば良いかと思われます。

文書交付(作成)料は?

4) 文書料どの程度が妥当か

文書料(診断書の交付料)は自由施術に相当しますから、接骨院単位で金額を決めれば良いことになっています。

「自分で金額を決めなさい!」なんて言われても、いくらくらいにしている人が多いのか知りたいですよね!!

もちろん、何万ももらうことは現実的ではないので、これで利益を得ようとするのは難しいです。純粋に手間賃の分を頂くという思考でいいと思います。

これまでほねゆきが聞いたことのある文書料は、平均して3000円から6000円の間です。

書くのが簡単な書式は安くして、書くのがめんど大変な高くするなんてうのもいいのかもしれませんが、文書量は一律に値段を決めていた方がトラブルがすくないです。

施術所のある場所の物価によっても大きく変わると思いますので、周辺の医療機関をリサーチしても面白いかもしれません。

ほねゆきの勝手な統計だと、都内では平均5000円です。なお、文書料は、診断書と引き換えに患者さんから直接もらうのが一般的です。

中には、損害保険の種類によっては文書料も保険給付される場合があります。その場合は、文書料の領収書を求められますから、あわせて交付するようにしましょう。