接骨院における自賠責のトラブルと予防法 - ① –

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あれ?サーバー代上がった?

どうも、意外なところで円安を感じるほねゆきです。

さて今回は接骨院ネタです。整形勤務組も接骨院勤務組も、接骨院経営の方も他業種の方も、「そんなことあるんだなぁ」程度に見ていただければ、嬉しいです。

どんなトラブルがある?

自賠責保険施術(交通事故の患者さんに対する施術)を行って、損害保険会社との間でトラブルが発生したとよく耳にします。

トラブルの内容の主なものは・・・

a) 医師が診断した診断名が1つに対して柔道整復師から請求されている傷病名が複数である。
b) 頸椎カラーなどの材料費が請求されているがこれは認められない。
c) 施術料金が高額だから支払えない。金額の見直し(減額)を求めるもの。
d) 何ヶ月も施術しているのにまだ治らないのか?

・・・以上のような保険会社からのクレームが多いようです。

ひとつひとつ見ていきましょう!!

傾向と対策。

ほねゆきの接骨院では、ずっと昔には数件、トラブルを抱えたことはありましたが、保険会社との間でトラブルなんてありません。これらのトラブルは皆、事前にちょっとした連絡などの気遣いによって解消できるものばかりなのです。

「そんな事トラブルになるの?」という人のためにひとつずつ見ていきましょう!

 

a) 医師の診断名に対して柔道整復師の傷病名が多いケース

私たち柔道整復師の施術料金は傷病の数に比例すると言えますね。それに対して、医師の診療報酬は傷病の数に反映されません。(ほねゆきの経験では、医師はこの事実を知っている人が少ないです。)

ですから、医師は主だった傷病とか、症状が顕著に現れている傷病についてのみ診断名をつける場合があります。

また、医師がつける診断名は必ずしも私たち柔道整復師が用いる傷病名と同じとは言えません。以前、ほねゆきが取り扱った患者さんの診断名には「右半身打撲」というものもありました。

 

a) トラブルの予防法

このトラブルを事前に回避する方法は極めて簡単です。患者さんを1回検査(診察)してみて、自分で傷病名を確定します。施術料金の請求に用いる傷病名を確定させるということですね。

そして、それを保険会社の担当の人に伝えます。そこで、その傷病名で請求することについて保険会社の人に同意を取り付けておけば良いのです。

その際、医師の方から出ている診断名よりもこちらが提示した傷病名の方が多ければ、差が生じている傷病名について根拠を提示すれば良いでしょう。

例えば、医師が「頸椎捻挫」の診断名しか出ていないのに、自分が見た限りでは「頸椎捻挫」と「右肘関節捻挫」の2つが傷病名としてあるとします。

その場合は、「右内側側副靭帯部に圧痛を認めるほか、肘関節屈曲痛があります。これは、交通事故に際して受傷した捻挫と思われますが・・・。」というように、その症状を医学的に述べれば良いでしょう。そんなに難しく考える必要はありません。

むしろ、あまり難しく言わない方がいいです。事実を端的に懇々(こんこん)と伝えましょう。あまり専門用語を多用したりすると、担当者が聞く耳を持たなくなる場合があります。担当者も最低限の専門用語は知っているでしょうが、患者さんに分かるレベルで、短文で言うといいです。

そして保険会社の人がこの傷病について交通事故との因果関係があると判断してくれれば、その後、請求が認められますね。

このトラブルが発生する多くの場合は、保険会社の人が予想している傷病名よりも異なった傷病名が、余計に請求されてきた場合に発生します。

患者さんに対する施術を初めて行った段階(初検)で傷病名を確定し、例えそれが1部位であったとしても保険会社に連絡しておきましょう。2部位や3部位になる場合であればなおさらです。

そうすることによって保険会社の人は、柔道整復師から請求されてくる傷病名の数や内容を事前に知っているわけですから、請求されてきた後になって医師の診断名よりも数が多い!なんてクレームは生じないでしょう。

なお、初検の段階では認められなかった傷病名が、何日か施術を続けているうちに出現したというケースもあるようです。この場合は、交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうね。

でも、ある意味ではその後から出てきた傷病を、初検の段階で見抜けていなかったという柔道整復師の落ち度も考えられますね。(考えられますね?!)

後から傷病が出てきてそれも請求に加えようとするのであれば、すぐにでも保険会社の人に連絡すべきでしょう。ただし、初検の段階で認められていないのですから、前述した交通事故との因果関係を証明する必要があるでしょうし、この場合はなかなか認めてはもらいにくいでしょうね。

やはり、初検の段階で、患者さんから発生機序について十分に情報を得て、身体に加わっている外力を元にどの部位に損傷が生じるか推測し、それらの部位に損傷がないかどうか確かめる必要があります。

初検の段階で損傷程度が極めて軽度であるものは傷病名に加えませんが、保険会社の人に傷病名を連絡する時にそのことも言い添えておけば、後発した傷病の追加も認められやすくなりますね。

明日は、「b) 頸椎カラーなどの材料費が請求されているがこれは認められない」についてお話しましょう。