柔整の教科書では習わない?「Jeffery型損傷」

肘のレントゲン画像

私たちの教科書には、この名前が出てきません。でも、名前は出てこなくてもその理論は教科書に掲載されているのです。今日の記事では、このJeffery型損傷について勉強してみましょう。

Jeffery型損傷とは?

肘を伸展した状態で落下すると、生理的な肘の外反による外反力に加えて手関節および手指を伸展して手をつくので、前腕屈筋や回内筋群の牽引作用によって内側上顆部に裂離骨折を起こします。

若年者に起こる外反骨折の場合では「①橈骨頸部骨折」あるいは「②肘頭の外反方向への若木骨折」を伴うことがあり、これをJeffery型損傷と呼びます。

① 橈骨頸部骨折
橈骨頸部骨折は16歳以下の肘関節部骨折の6%、全年齢全骨折中の0.2%を占める骨折です。
成人では、同じ受傷機転では橈骨頭骨折となるので橈骨頸部骨折は稀となります。
胎児期から成人まで橈骨頭、頸部の形状には大差なく、年齢とともに変化するのは大きさと関節軟骨の占める割合のみです。
従って、この関節軟骨が占める割合の相違によって小児と成人とでは骨折の病態が異なってきています。
小児では橈骨頸部骨折が大部分を占め、橈骨頭骨折は稀です。
また、小児の頸部骨折は近位骨端線離開と近位骨幹端骨折とに分類されますが、前者が大部分を占めます。

② 肘頭の外反方向への若木骨折
小児に起こる肘頭骨折は比較的少なく、肘関節部骨折の5~6%を占めるに過ぎません。
単独で骨折するより他の肘部周辺損傷を合併することが多いとされています。
肘頭骨折の10%が橈骨頸部骨折を合併するJeffery型損傷と言われます。

橈骨頸部骨折は受傷機転によって「①外反力によるもの」と「②肘関節の後方脱臼に合併するもの」に分類することができます。

「①外反力によるもの」は肘関節伸展位で手をついて、肘関節に外反力が作用して起こるものです。
この時、上腕骨内側上顆骨折や尺骨近位端の外反骨折、あるいは内側側副靭帯損傷を合併することがあり、このようにして骨折が発生した場合をJeffery型骨折と呼びます。

どのように発生する?

模試図を書きました。

画像は、外反骨折とその合併損傷を示します。

A:外反力
B:手をついて落下することによる床から加わる力
C:橈骨頭に加わる衝撃

1:橈骨頭部骨折
2:内側上顆骨折
3:内側側副靭帯損傷
4:尺骨近位端の外反型骨折
(2~4は同時に発生することは稀)

実際のレントゲン

尺骨だけならまだしも、橈骨の転位はひどいですね。

7歳・女児
橈骨頸部の外側傾斜、尺骨近位端の外反骨折が特徴的(矢印)。
その他内側上顆骨折、内側側副靭帯損傷を伴う場合も外反型損傷(いわゆるJeffery型損傷)に含まれます。


参考『冨士川恭輔ほか編:骨折・脱臼,東京,2002』