「下前腸骨棘裂離骨折」で脚を提肘する?

脚を提肘するという記事のサムネイル画像

久々のブログ更新です.

文章を書くことは辞めていないのですが,ブログは忙しさにかまけて後回しに...今後は頑張ります.

さて,今日は数年前に知り合いの先生から聞いた「脚を提肘(ていちゅう)する」という,なんとも胡散臭いというか,日本語の使い方を間違っている事象について共有しようと思います.

本来なら「提脚(ていきゃく)」と言うのが正しい?のでしょうが,実際に「ていきゃく」と言われても漢字が思い浮かばず伝わらないので,あえて「脚を提肘する」と言っているのがなんだか面白く,かつ臨床でも意外と使えそうだったのです.

脚を提肘」の方法

口で言うよりも画像でイメージを見てもらった方が早いので,用意しました.

骨盤の骨折の患者さんが松葉杖を使って,かつ脚の重さをひもで首に任せているイメージ図.

ほねゆき君(エヴァver.)に実際にやってもらいましたが,首にひもをかけて脚の重さを逃がし,安定させる方法です.

これでピンときた方もいると思いますが,これは下前腸骨棘の裂離骨折に対して使えそうです.

実際に知り合いの先生はやっていて,疼痛が減り,患者満足度もかなり高いそうです.

しかも簡便であると.

下前腸骨棘裂離骨折の保存的経過観察

皆さんご存じの通り,下前腸骨棘裂離骨折は大腿直筋メインの裂離と言われていますが,であれば股関節を屈曲位で保たなければ骨片に牽引力が働いてしまいます.

もちろん,(骨だけに)ボーンと骨片が吹き飛んでいるような症例は保存で無理な可能性もありますが,見たことがある人は分かるとおり,まぁ解剖を考えても,骨片がどこかに飛んでいくことはだいぶ少ないです.

実際の経過の見方としては,「松葉杖歩行+安静」というのが多く,確かにそれで経過が良好なものも多いです.

そこで,柔整師の一部の先生の間で行われているのが,「松葉杖歩行+脚を提肘+生活指導」というものです.

他には,使用用途は今のところ思いつかないのですが,皆さんの臨床の何かに活きればと思いご紹介しました.