いやぁ,梅雨入りしたと聞いてから一層に暑さが増しましたね.
都知事選も終わりを迎えようとしていて,都民としてより一層,都の政治に目を向けていきたいと感じた日々でした.
私も「都内の柔整師に月100万円の給付を開始」というマニフェスト一本槍で立候補しようと考えておりましたが,そんなことをしたら都内の柔整師が遊びほうけちゃうのでやめました.
まじめに臨床やってもらわないとね!!笑
そんな冗談はさておき,今日は「柔道整復師の施術の対象」について記事にしようと思います.
言わなくても分かると思いますが,施術において禁止行為はあるものの,施術の対象というのは定まっておりません.
それはそもそも,定めることが不可能だからです.
ではなぜ,そのような議題をこのブログに持ってきたのかと疑問に思いますよね.
それは,「対象が定まっていると思っている人がいたから」です!!!
では,順にみていきましょう.
もくじ
柔整師に関する誤った投稿
ことの発端はSNSでの柔整師に関する解説でした.柔整師ではない,他の医療関係を名乗るアカウントからの投稿です.
現在は消されている投稿かもしれません.わかりやすいように改変して記載します.
「整骨院」「整体」「整形外科」などの違いが分からない人が多いと思うので解説します.まず,「整骨院」は本来の名称は「接骨院」で,資格としては国家資格の「柔道整復師」です.柔道整復師は3年間の教育でとれる国家資格です.施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」を対象とします.
「骨折」や「脱臼」の応急処置もできますが,継続して施術するには医師の指示が必要です.
次に「整体」は資格不要です.誰でも明日から「整体師」になれます.国家資格ではないので厳密な定義はありませんが,主にマッサージ(厳密には違法)やストレッチの手技をします.
「整形外科」は医学部6年間教育を受けた医師が診断治療します.接骨院(柔道整復師)と違い,施術対象の制限はありません.外傷疾病なんでも診断治療します.
さて,皆さん例えば腰痛の時どこを選びますか?
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
色々と書いてありますが,分解すると以下です.
- 「整骨院」は本来の名称は「接骨院」である
- 柔道整復師の施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」であり,「骨折」や「脱臼」の応急処置もできますが,継続して施術するには医師の指示が必要
- 医師は柔道整復師と違って施術対象の制限はない
というような投稿ですね.私の解釈は一切入れていません.
柔整師の皆さんなら,この投稿にすぐに待ったをかけたくなると思います...
いや,もしかしたら,柔整師でさえもこれを鵜呑みにして誤った情報をインプットしてしまうかもしれません.
それを受けて私がSNSに投稿した内容はこちら↓
誤った情報の流布に注意
× 施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」を対象とします.
→歴史的にそのような背景はありますが,施術の対象疾患や対象傷病は特に定められていません.柔道整復師は柔道整復を行えます.
なにが間違っているのかを改めて解説します.
柔整師に関する誤った投稿の訂正
さて,先ほどの投稿に沿って正しい情報を整理しましょう.
順に見ていきます.
〈「整骨院」は本来の名称は「接骨院」〉
まずこの名称の話ですが,この投稿は誤りです.
あえて言い換えるのであれば,「整骨という名称は柔道整復施術所の広告に関する告示に規定されていない」というのが正しい表現です.
この投稿は「整骨院」はダメで,本当は「接骨院」だと読み取れますが,そんなことは全くありません.「接骨院」以外も大丈夫です.
詳細は過去のこちらの記事もご覧ください.
〈柔道整復師の施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」である 〉
これがこの記事で大きく取り上げたいところですが,事実無根です.
施術の対象は定められていません.この記事で解説します.
〈「骨折」や「脱臼」の応急処置もできます〉
これも厳密には誤りです.
柔道整復師法第17条には「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。」とあります.
どこにも「応急処置」とありません.正しくは「応急手当」です.
揚げ足取りのように思うかもしれませんが,決してそうではありません.この「応急手当」がまさに先ほどの法令用語です.
「応急手当(応急の手当)」に関しては,以下の記事もご覧ください.
一般用語としての「応急手当」や「応急処置」とは意味合いが違うことを理解してください.
柔整師の皆さんは授業で習ったと思いますが,適切に言葉を使い,適切に認識しましょう.
〈継続して施術するには医師の指示が必要 〉
これは明らかな誤りです.
これも先ほどの,柔道整復師法第17条「柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。」
「医師の指示」ではなく,「医師の同意」です.
「指示」や「同意」は法令用語ではありませんが,柔整師は明確に使い分けなければいけません.
指示:特定の行動や作業を行うように命じること
同意:提案や意見に対して賛成や了承の意思を示すこと
自分のことが偉いんだと勘違いしている人は,もしかしたらこのような間違いをしてしまうのかもしれません.
〈医師は柔道整復師と違って施術対象の制限はない 〉
これも誤りですね.
先ほど言ったように柔道整復師にも施術対象の制限はありませんから,医師も柔道整復師もないというのが正しいです.
このように,自分の勝手な解釈で理解しようとする人が柔整師にも多いので注意しましょう.
なぜ「施術の対象」があると勘違いしたのか
これはおそらく,健康保険などの療養費の支給規定と柔道整復師法を混同したものだと思います.
いや,おそらくではなく,そうなんです.
最初にご紹介した投稿主はこのようにも投稿しておられましたので,確信的です.
「なるほど.柔整の療養費の対象と施術の対象をごっちゃにして考えているのか」という投稿を見ましたが,そうですよ.そのために3年も柔道整復術を学んでこられたのでしょう.そこを分けると外傷に関係なくすべての疾患を施術できることになります.それなら医師と同じように6年間学びましょう.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
私には療養費の規定と法律をごちゃまぜにしてしまうことが全く理解できませんが,これは一般の方にも柔整師にも,よくある間違いですね.
※そのあとの3年間も学んだとか6年間学びましょうとかはちょっと意味が分からなさすぎて怖いので,ここでは触れません.
療養費の規定についてはまた別の記事を作成中なのでここでは割愛させてください.
療養費の位置づけについては以下の記事で解説しています.
施術(治療)の対象を定めた資格法はなさそう
では逆に,業務における施術(または治療などの業務行為)の対象を定めている資格法はあるのでしょうか.
資格法とは,特定の身分や資格を定める法律の総称で,そういった法律があるわけではありません.例えば,医師法も柔道整復師法も資格法としてくくられることがあります.
結論から言うと,なさそうでした.
柔整あまし含む医療関係の資格法について全て調べましたが,私の調べた限りでは条文に業務の「対象」を定めるものはありませんでした.
同時に法や規則に明文化されていなくとも「実質的に業務の対象が定められていることと同じようなもの」があるかどうかも調べましたが,それもありませんでした.
これはなぜかというと,答えは単純です.
そもそも免許というのは,「本来は違法な特定の行為や業務を合法的に行うことを許可する」というものです.
そして医療関係の資格法は全て,何を業とする者かという定義づけをしています.
例えば,看護師であれば「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」であったり,理学療法士なら「理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう」とあります.
柔整師は「柔道整復を業とする者をいう」とありますね.
そのように,業務範囲を定めたり,禁止事項を定めたりすることはあっても,その業務の対象を事細かく定めるなどということはないのです.
それもそのはず,そんな疾患などの患部の状態によって線引きをすることは不可能ですからね.
誰でも考えればすぐに分かります.
柔整師の業務範囲は?
まず,柔道整復師には明確な禁止行為があります.
それは「医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない」というものと「外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない」というものです.
これはわざわざ柔道整復師法に明文化されています.
それはどうしてでしょうか.
理由は,そうやってきちんと文字にして書かないとダメだからです.
なぜ書かないとダメなのか.
それは,「柔道整復」というものをきちんと定義していないからです.
ですから,それまで歴史的に行われてきた身体に関する施術に関連しやすいものとして,「外科手術」と「投薬」などを明確に禁じたのです.
それを踏まえたうえで対偶法で言えば,「禁止行為以外で柔道整復師の行うことは柔道整復」とも言えます.
柔道整復師法や関連法の解釈をどうするのか,厚労省が明確に答えを出さない以上は基本的にはそれ以上でもそれ以下でもないのです.
それなのに,最初の投稿主はこうも言っていました.
素人質問で恐縮なのですが,柔道整復術は全身の全ての急性疾患・慢性疾患を対象とするのですか?
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
答えは,明らかに「施術の対象は定まっていない」ですよね.
施術の対象なんて,どこにも書いていないのですから.
これは例えば,「柔整師は肺がんを対象として身体に施術をするのか」などという飛躍した話にも聞こえますが,実際の柔整師の臨床でそんなことをする人はほとんどいないわけですよ.
なぜなら,「患者に不利益を被る可能性があるから」です.
先ほどの話で言うと,禁止事項を守っていれば,仮に肺がんをどうにかするつもりで施術を行っても,柔道整復師法としては問題がありません.
しかし,法律以前に患者に不利益を被る可能性があるのでやらないし,仮にやって実際に患者に被害があれば民事・刑事で責任を問われます.
私はそのまま,上記の投稿に「施術の対象は定められていません」と返しました.
変形性膝関節症は柔整師の施術対象か
すると,こんな返答がありました.
例えば,変形性膝関節症のご老人が膝が痛い施術してくれと来院したときに柔道整復師の施術対象として施術しますか?
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
私はそのまま「対象は定まっていないので答えられません」と返答しました.
.なぜなら,柔整師の施術の「対象」なんて定められていないからです.進次郎かよ
もう,この辺で私はワニワニパニックです.
だって,施術の対象が定められていないのに,「対象として施術しますか」なんて聞いてくるんですよ.
「いや...対象としてって...対象は決まってないっすね....だから,施術することはあるけど,対象として....ちょっ..」としか言いようがないわけです.理解に苦しみました.
柔整師の業務範囲内で変形性膝関節症を施術することは十分にあり得ることですので,「柔整師の施術の対象になることはありますか」という問いであれば,「あり得ます」という回答で問題ないです.
それを「柔整師の施術の対象か」と聞いてくるもんだから,コア…じゃなくてワニワニパニックなわけです.
発言の変化
確かに,柔整師ですら解釈や返答はむずかしいから理解できないのもしょうがないなと思っていた矢先に,上記で紹介したすべての投稿が削除され,新しい投稿が行われました.
それがこちら.
整体や接骨院,整形外科などの解説の中で「柔道整復師の業務範囲」の話をしているのに,それを「柔道整復師は急性期の怪我しかみてはいけないと言っている」と勝手に脳内変換する言動は決して看過できない.
「療養費支給範囲」と「実際の施術可能範囲」は確かに乖離があるかもしれないが,患者は「保険が効く施術院」として院を選んでいるので,その「保険が効く範囲」はアピ―ルすべきでしょう.
柔道整復師は整体と同じく,「なんでも施術できる」をアピールポイントにしていいの?
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
※アピールうんぬんに関しては意味がよく分からないので触れません.
まず,「柔道整復師の業務範囲の話をしているのに」とありますが,「施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」を対象とします」というのは柔整師の業務範囲の話として不適切ですので,その業務範囲の話が根本から違います.
そして,「柔道整復師の業務範囲の話をしているのに,柔道整復師は急性期の怪我しかみてはいけないと言っていると勝手に脳内変換している」というところですが,これはおそらく私の「全国の急性外傷をみていない整師は、お前らは違法行為をしているということですよ。しっかりと訂正すべきだと思います。」という私のフォロワーに対する,私の発言を受けてのことだと思います。
勝手に脳内変換していません。
先ほど載せましたが,ご自身で「療養費の給付の規定が柔整師の施術の範囲を決めなきゃおかしい」といった趣旨の発言をされています。
「なるほど.柔整の療養費の対象と施術の対象をごっちゃにして考えているのか」という投稿を見ましたが,そうですよ.そのために3年も柔道整復術を学んでこられたのでしょう.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
僕は保険施術に関しても実はよくわかっている.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
柔整師の業務範囲について,あたかもその対象が「打撲」「捻挫」「挫傷」と定められているというような言動は,「それら以外の施術は違法」だと言っているのと同義です.
「確かに乖離があるかも」などと言っている様子から、数日経って調べを進めたのか,認識が変わったのだと思います.
しかし,そのあとに他のアカウントへの変身にてこうも言ってます.
まあ,「変形性膝関節症を普通に施術する」と言い切った場面はなかなか楽しかったですよw
あたかもそれが違法行為かのような言い方です.
念のため言っておきますが,柔道整復師が業務範囲内で(つまり禁止行為をせずに)変形性膝関節症と言われるようなものに施術を行ってもなんの問題もありません.
もちろん,患者に不利益が生じるようなことがあれば民事・刑事で罪に問われることはありえますが,それは柔整師に限ったことではありません.
事実の捻じ曲げ
そして、また更新がありました。
(私)さんはおそらく,「柔道整復師の施術適応が外傷だけというのは療養費の話だけであり,柔整法には詳細な施術内容まで書かれていないから施術に制限はない」と言いたいのではないでしょうか.それを確認したかったけど,「ブログ読め」としか言われない.
僕が述べていたのは,「整体や接骨院,整形外科の違いを説明するための投稿の中での”柔道整復師の解説”」です.一般的な接骨院の業務内容や接骨院を選ぶ判断基準を述べているのであって,柔道整復師の法律的な背景を語っていたわけではない.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
まず,私が「柔道整復師の施術適応が外傷だけというのは療養費の話だけであり,柔整法には詳細な施術内容まで書かれていないから施術に制限はない」と言いたいというのは,まったく違いますので憶測は外れています.
そもそも,「柔道整復師の施術適応が外傷だけというのは療養費の話だけであり,柔整法には詳細な施術内容まで書かれていないから施術に制限はない」というのが事実と異なるので,私がそのように投稿することはありません.
柔整師の施術に関する療養の支給の規定に,柔整師の施術の適応が書かれているはずがありません.書かれているのは,療養の支給に関する詳細な規定です.
柔整師の施術があって,その上で初めて柔整師の施術に関する療養の支給の取り決めが保険種別ごとにあるわけですから,「療養の支給の規定」の中に「柔整師の施術の適応」が書かれているわけないですよね.
次に,「ブログを読め」としか言われないとのことですが,「ブログを読んでください」といった内容を私は計2回しか投稿しておらず,それ以外は適切に返答しています.誤りです.
最後に,「整体や接骨院,整形外科の違いを説明するための投稿の中での”柔道整復師の解説”をしたまでで柔整師の法律の背景を語っていたわけではない」という文章ですが,そうなんですねとしか言いようがありません.
私は柔整師の法律の背景を語るななどとは言ってません.
その”柔道整復師の解説”に誤りがあったので,違いますと言ったのです.
大どんでん返し
そして最後に,さすがに間違ったと思ったのか,ほとんどすべてのこれまでの投稿を削除した後に,こんな新しい投稿がありました.
もう一度言うと,「柔整師は外傷しかみちゃいかん」と言ってるんじゃないんですよ.「柔整師が療養費の対象とされているのは外傷だけだから,そこはきっちりやりましょう」と言ってるんです.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
私は開いた口がふさがりませんでした.
だって,これまでに皆さんにも紹介したように,意見がガラッと変わっているのですから.
施術対象は外傷,「打撲」「捻挫」「挫傷」を対象とします.「骨折」や「脱臼」の応急処置もできますが,継続して施術するには医師の指示が必要です.
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
柔整の療養費の対象と施術の対象は混ぜて考えている
※実際の投稿から引用改変.記述要件は変えていません.
外傷をきっちりやりましょうどころか,事実と全く異なることを言い,柔整師の存在を歪曲して解釈し投稿を行ってきたのですから,いささか信じられません.
誹謗中傷といやがらせ行為
また,今回の一連の投稿において,私個人は非常に精神的ダメージを負いました.
柔整師に関する制度や法令の認識や解釈を間違えた発信に関しては,それを見た人が同じように間違わなけばそれでいいのですが,
その中で投稿の端々に織り交ぜられる「恥ずかしい」や「妄想を言い出す」,「反骨精神やポリシーがない」,「好きにほえろ」,「脳内変換」,「あら貴重な体験だったのかしら」,「はぐらかす」などの執拗ないやがらせととれる投稿や誹謗中傷に,私は傷心しました.
法人で運営するブログに関しては「金儲け」,「ブログに誘導したいだけ」,「ブログを読むと先方に金が入る」などと,その営業を害するような書き込みを何度も繰り返し行い,一定の損害が見込まれています.
当時はブログに広告はつけていませんでしたので,明らかな虚偽・妄想です.
削除された投稿を含め,すべてのログを保管してあります.これ以上,被害が拡大しないことを希望します.
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