朝に鳴る恐怖の電話

逃げちゃダメだ

過激な表現が含まれますので、柔整師を批判的に捉えられている方や心臓の悪い方は閲覧にご注意ください。なお、今回の記事も特定の個人や団体、職種を揶揄するものではありませんので、記事の出来事はあくまでも最悪な一例として捉えるようにしてください。

さて、前回の記事の続きです。

(処置をした次の日の朝)

プルルルルル…

あまり朝は接骨院の電話は鳴らないのですが、この日は違いました。ほねゆきの心はざわついています。これまでの経験から、前日に誰か患者さんの処置をした時の翌日の朝の電話はいい内容だった試しがないからです。

ガチャ

業者

おはようございます!〇〇セラピストグループの田中と申します!今回は院長先生の治療機器の組み替えについてご提案がありまして…

ほねゆき

いや、大丈夫です。。。

ほねゆきは営業の電話はすぐに切るようにしています。

その時です。電話を切った瞬間にまた電話が鳴ったのです。

ぷるるるるるるっ

これは怖い。絶対あのお母さんだ。そうに違いない。出たくない。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃ…

ガチャっ

お母さん

あの…昨日処置をしていただいた〇〇の母ですが、院長先生はいらっしゃいますか?

ほねゆきの予感は的中しました。昨日のお母さんからの電話です。このような電話の話出しの場合は、転院の話だと相場は決まっています。この時点で転院することはほぼ確なので、後はどのような理由でそのような結果に至ったのかを聞く必要があります。

ほねゆき

私が院長です。お母さん、どうなさいましたか?何か処置後にトラブルがありましたか?

お母さん

先生、申し訳ないんですがやっぱり他のところへ通う事にしました。レントゲンとかエコーの画像とかってもらいに行っていいですか?

ほねゆき

ん…。いや、他に行くのは患者さんの自由なのでいいんですが、エコーの画像は撮影した人しかどこを撮っているかわかりませんし、あくまでも施術の補助で使ったものですから患者さんや次の院へ渡すことはできません。渡したとしても意味がないです。レントゲン画像は私の管理下にありませんから、撮影した整形に聞いてください。どうして転院する事になったのですか?

お母さん

画像はもらえないんですね…わかりました。さっき学校に娘を送っていったんですが、そこで部活の監督に「俺の整形に行け。骨折しているなら松葉杖はつかないとダメだ。ギプスだと足首が固まるから復帰が遅くなる。」と言われまして、そちらに行く事になりました。すぐに歩けるようになって、私や娘は先生の処置にとても感謝していたのですが、すみません…。娘は新しいところには行きたくないと言っていますが、とりあえず行かないと治ってもチームに居づらいので….。

ほねゆきは唖然としました。もう、この電話で何を言っても変わらないし、お母さんや女の子に非はありません。

ほねゆき

なるほど。「俺の」って…。お母さんが転院に納得していないのが気になりますが、しかたなさそうですね。言っておきますけど、その監督さんの言ってることは全て私の施術においてはあてはまりません。説明したように他の整形外科などに行くと手術を提案されることも多いですよ。当院で骨を戻してギプスまで巻いているので、なんと言われるかは分からないですが…。最初のレントゲンは必ず持って行ってくださいね。よく治ることを祈っています。

結局、女の子が行った先がどこかもわかりませんでした。しかし、学校の部活の監督の権力や発言力はそれほど強くなければいけないものなんでしょうか。

学生さんが学校の部活に命をかけて頑張ることには何もいいません。ただ、監督の言うことを聞かないと試合に出れないとか、監督のすすめる病院へ行かないと早く治らないとか、そういった考えを生徒や親に植え付けるような行為を監督並びに周囲の大人が行うのはいかがなものでしょうか。

骨折治療に関して全くの素人である監督が、治療の内容にまで口を出し、自分の思い通りに生徒を動かす。ほねゆきには到底理解できません。その監督が、女の子の足首の今後に、一生の体に、替えが効かない大事な体に、最後まで責任を持つのであれば上記のような発言をしてもいいと思いますが、実際はそうではないでしょう。

監督にも監督の立場があり、本気で女の子を思って言っているのかもしれませんが、だとしても女の子やお母さんに対して説明が足りません。ここにはどこにも本当の正義は存在しないのかもしれません。

・・・と、ここまでで今回のお話は終わりです。皆さんはどう思われたでしょうか。実際にあった経験を、ほねゆきの考えを交えて語りました。賛否両論あると思いますが、皆さんも自分だったらどうするか、考えてみてください。