健康保険法の変遷

健康保険法の変遷についてのサムネイル

もはやここまでくると「夏が暑い」のか,「暑が夏い」のかが分からなくなってしまいました.

「夏」を辞書で調べると,「四季の一つ.」と出てきます.

暑いを辞書で調べると,「気温が高い.また,それが肌を通して不快に感ぜられるほどの状態.」と出てくる.

つまり,「暑が夏い」んです!!!!!

※私は意識もうろうとしながらこのまえがきを書いています.救急車を呼んでください.

さて,今日は「健康保険法」の歴史を振り返り,それを通じて目的や理念を知ろうという記事です.

のちに柔整師の療養費に関する記事につながりますので,柔整師は要チェックだ!!!

健康保険法の施行

前の記事でも健康保険法について軽く触れていますので,そちらもご覧ください.

この健康保険法というのは,大正11年に制定されて,大きな改正がありながらも,今もなお現行法として続いています.

1922年(大正11年) 健康保険法 制定

1927年(昭和2年) 健康保険法制 施行

制定:法律が作られて発表されること.法律案が国会で審議され,可決となり,内閣に送られ,内閣の助言と承認のもと天皇に送られます.天皇は内閣の助言と承認に基づいて法律を公布する.
施行:制定された法律が実際に効力を持ち始めること.施行日以降,法律に基づいて具体的な規制や措置が実行される.

施行当時の健康保険法の事を「大正11年法律第70号」と言われることが多いのですが,これは単純に大正11年(1922年)に制定された際の第70番目の法律であることを示しています.

健康保険法の改正

その当時の法律が今も生きているわけですが,もちろん時代に合わせて多くの改正が行われています.

以下に主な改正をまとめましたのでご覧ください.

健康保険法の法改正の年と内容
健康保険法の法改正の年と内容
内容 当時の政権
1922 健康保険法が制定され、労働者の健康保険制度が始まる。 加藤内閣
1934 適用事業所が拡大され、保険給付の範囲が広がる。 岡田内閣
1942 戦時下の経済政策により、健康保険制度が中央集権的に再編成される。 東條内閣
1953 医療費の自己負担分の導入。 吉田内閣
1961 国民皆保険制度の確立に伴い、健康保険制度の再編が行われる。多くの新しい条文が追加。 池田内閣
1984 高額療養費制度の導入。高額療養費制度に関する条文の追加。 中曽根内閣
2000 介護保険制度の導入に伴い、介護保険料が健康保険料に加わる。介護保険制度に関する条文の追加。 森内閣
2003 医療費適正化のための制度改革。 小泉内閣
2006 メタボリックシンドロームの特定健診・保健指導の導入。メタボリックシンドロームの特定健診・保健指導に関する条文の追加。 安倍内閣
2008 後期高齢者医療制度の創設。後期高齢者医療制度に関する条文の追加。 福田内閣
2015 医療費の増加に対応するための制度改革、特定健康診査・保健指導の強化。 安倍内閣
2018 働き方改革関連法案により、健康保険の適用範囲の拡大と保険料負担の見直し。 安倍内閣
2021 オンライン診療の推進とデジタルヘルスの導入。オンライン診療やデジタルヘルスに関する条文の追加。 菅内閣
2022 高齢者の医療費負担見直し、持続可能な医療保険制度のための改革、小規模事業所の健康保険適用拡大。 岸田内閣
2023 働く女性の健康支援策の強化、健康増進と疾病予防のための新たな施策の導入。 岸田内閣
2024(予定) 高齢者の介護予防策の強化、地域包括ケアシステムの推進と健康保険制度の連携強化。 岸田内閣

さて,このように変遷があるわけですが,やはり一番大きい転換点は「国民皆保険制度の確立に伴う健康保険制度の再編」です.

戦後にGHQは医療制度の見直しを大胆に行いましたが,その際に,国民皆保険制度をしっかりと作り上げようとする動きがありました.

これには様々な思惑があったと思います.私の勝手な意見として,どういった思惑があったのか,以下を挙げます.

  • 健康で労働力の高い国民の確保(経済成長)
  • 共産主義に傾倒することの防止(社会不安の解消)
  • 軍国主義や封建的な社会構造の破壊(平等弱体化)
  • 他のアジア諸国に対する民主主義と経済発展の成功例の作成(支配力強化)

色々な人が色々な思惑を持って皆保険制度がつくられたのだと思いますが,実はその前段階の準備として,一部負担金(自己負担分)の導入があります.

それまでは医療サービスそのものに対する直接的な自己負担はほとんどありませんでした.

国民皆に公的医療保険を提供しようとするには,以下の問題があったからです.

  • 人口増加に伴う医療費の増大
  • 医療サービスの適正利用促進

つまり,まず収支バランスを整えなければ,保険制度の拡大と持続はできなかったということです.

以下に導入から現代までの一部負担金(自己負担分)の割合の変遷を示します.

自己負担分の割合の変遷
自己負担分の割合の変遷
0~69歳 70~74歳 75歳以上 内容
1953 10% 10% 10% 初めての自己負担分が導入される。
1973 10% 0% 0% 70歳以上の高齢者医療費の無料化。
1983 10% 10% 10% 70歳以上の高齢者医療費の一部負担再導入。
1997 20% 10% 10% 現役世代の自己負担割合の引き上げ。
2003 30% 20% 20% 現役世代および70歳以上の高齢者の自己負担割合の引き上げ。
2008 30% 10% 10% 後期高齢者医療制度の創設に伴う自己負担割合の設定。
2015 30% 20% 10% 一定所得以上の70~74歳の高齢者の自己負担割合の引き上げ。
2022 30% 20% 10% / 20% / 30% 75歳以上の現役並み所得の高齢者の自己負担割合の引き上げ。現役並み所得でない高齢者の負担割合は10%のまま。

最初は皆が1割だったというのは,今となっては驚きですよね!

具体的な条文の変更

そういった制度設計の変更に伴い,もちろん条文が変更・追加されているわけですが,具体的な条文の変更をピックアップしてみていきましょう.

その変化を見ることより,現代の健康保険法の意図するところが分かるかもしれません.

まずは,第一章「総則」をみます.

大正11年と現代の健康保険法の総則
項目 大正11年 (1922年) 現代 (2024年)
第1条(目的) この法律ハ労働者及其ノ家族ノ疾病、負傷、出産、死亡ニ関シ必要ナル保険給付ヲ行ヒ以テ其ノ保護ヲ図ルヲ目的トス。 この法律は、被保険者及びその被扶養者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して保険給付を行うこと等により、国民の健康の保持及び生活の安定に寄与することを目的とする。
第2条(被保険者の範囲) 本法ニ於テ被保険者トハ、工場、鉱山、運輸業其ノ他政令デ定ムル事業ニ従事スル労働者ヲ謂フ。 この法律において被保険者とは、適用事業所に使用される者及び市町村が運営する国民健康保険に加入する者をいう。
第3条(保険者) 本法ニ於テ保険者トハ、事業主ガ設立スル健康保険組合ヲ謂フ。 この法律において保険者とは、全国健康保険協会、市町村、国民健康保険組合及び健康保険組合をいう。
第4条(保険者の責務) なし 保険者は、被保険者及びその被扶養者に対して、適切な保険給付を行うとともに、健康の保持及び増進を図るための事業を行う責務を負う。

このように,元々は労働者のためのものでしたが,対象が大きく拡大されていることが分かりますね.

次に,第二章「保険者」についてです.

大正11年と現代の健康保険法の第二章 保険者
項目 大正11年 (1922年) 現代 (2024年)
第4条(健康保険組合の設立) 健康保険組合は、政令で定める手続きに従い、事業主が設立する。 健康保険組合は、政令で定める手続きに従い、事業主又は一定の規模の事業主団体が設立することができる。
第5条(保険者の種類) なし 保険者は、全国健康保険協会、市町村、国民健康保険組合及び健康保険組合とする。
第6条(健康保険組合の管理) 健康保険組合は、組合員の健康保険を管理し、保険給付を行う責任を負う。 保険者は、被保険者に対して適切な保険給付を行うとともに、健康増進事業を実施する責務を負う。
第7条(組合員の資格) 組合員は、事業主及びその従業員とし、組合に加入することを義務とする。 組合員は、事業主、従業員及びその被扶養者とし、組合に加入することを義務とする。

保険者の種類が明確になり、責務が明確化されています。

次は第3章「被保険者」について.

大正11年と現代の健康保険法の第三章 被保険者
項目 大正11年 (1922年) 現代 (2024年)
第31条(被保険者の資格) 工場、鉱山、運輸業その他の事業に従事する労働者は、被保険者となる。 適用事業所に使用される者及び市町村が運営する国民健康保険に加入する者は、被保険者となる。
第32条(資格の取得と喪失) 被保険者の資格は、雇用の開始日から取得し、雇用の終了日で喪失する。 被保険者の資格は、雇用の開始日から取得し、雇用の終了日で喪失する。ただし、一定の条件を満たす場合は資格を継続できる。
第33条(資格の継続) 被保険者が事業所を変更しても、資格は継続される。 被保険者が事業所を変更しても、条件を満たせば資格は継続される。

ここも,書き換えられていますね.

次は第4章「保険給付」を見ましょう.

大正11年と現代の健康保険法の第四章 保険給付
項目 大正11年 (1922年) 現代 (2024年)
第52条(保険給付の種類) 療養の給付、傷病手当金、出産手当金、埋葬料及びその他の給付。 療養の給付、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、出産手当金、埋葬料、高額療養費及びその他の給付。
第53条(療養の給付) 被保険者が疾病に罹患した場合、保険者は必要な療養を給付する。 被保険者が疾病に罹患した場合、保険者は必要な療養を給付する。また、保険外併用療養費も支給する。
第54条(傷病手当金) 被保険者が業務外の傷病で労務不能となった場合、保険者は傷病手当金を給付する。 被保険者が業務外の傷病で労務不能となった場合、保険者は傷病手当金を給付する。ただし、一定の条件を満たす必要がある。

高額療養費などが追加になりました.

最後に第7章「費用の負担」です.

大正11年と現代の健康保険法の第七章 費用の負担
項目 大正11年 (1922年) 現代 (2024年)
第151条(費用の分担) 健康保険の費用は、保険者、被保険者及び事業主が負担する。 健康保険の費用は、保険者、被保険者及び事業主が負担する。政府が一部負担する場合もある。
第152条(保険料の納付) 保険料は被保険者及び事業主が納付し、保険者が徴収する。 保険料は被保険者及び事業主が納付し、保険者が徴収する。国が定めた方法で納付する。
第153条(保険料率) 保険料率は、保険者が定める。 保険料率は、政府の基準に従い、保険者が定める。

低所得者や生活保護の方の国の支援,災害時の特別支援,予防接種の支援などを政府が負担することが現代では決められています.

また,支払い方法にオンライン振込や自動引き落としが追加されています.

また,保険料率に関して,年間医療費増加率やGDP成長率に基づく調整,物価指数(CPI)の考慮が行われているそうです.

療養費の変遷

さて,柔整師の施術の給付も療養費とし患者に支払われますが,その療養費について全体の変遷を見てみましょう.

健康保険法における療養費の変遷
主な変更点
1922年(大正11年) 健康保険法制定。療養費(償還給付)の導入。
1953年(昭和28年) 医療費の自己負担分が導入され、療養費制度も継続。
1961年(昭和36年) 国民皆保険制度の確立。療養費の全国拡大。
1973年(昭和48年) 老人医療費の無料化が導入され、高齢者への療養費支給が拡充。
1984年(昭和59年) 高額療養費制度の導入。高額医療費の払い戻しが開始。
1997年(平成9年) 療養費の対象が拡大。治療用装具や義肢、コルセットの購入費用も対象に。
2000年(平成12年) 介護保険制度の導入。介護サービスに関連する療養費の支給が開始。
2006年(平成18年) メタボリックシンドローム対策の特定健診・保健指導が導入。生活習慣病予防のための療養費支援が強化。
2008年(平成20年) 後期高齢者医療制度の創設。75歳以上の高齢者に対する療養費支給が専用の保険制度で管理。
2015年(平成27年) 医療費適正化のための制度改革。不必要な医療費に対する支給制限が強化。
2021年(令和3年) オンライン診療の推進。オンライン診療に対する療養費の支給が整備。

療養費というのはもちろん柔整師の施術に関するものだけでなく,割と幅が広いです.

特に高額療養費制度に関しては,入院手術をする人のほとんどがお世話になりますので,ありがたい仕組みですね.

では,我々柔整師の施術に関する部分だけも見ておきましょう.

ここで注意なのは,以下の変更は健康保険法の条文の変更ではないという点です.

各種法を勘案して,運用を取り決めているのですが,以下のような構造になっていることも知っておいてください.

通知・指針の枠組み
種類 定義 役割 特徴
憲法 国家の最高法規。 国家の基本的な枠組みや国民の権利・義務を定める。 全ての法律や命令の基礎となる。
最上位の法的拘束力を持つ。
法律 国会で制定される法規。 社会や業界全体に対する基本的な規範を定める。 憲法に基づく法的枠組みを具体化する。
日常生活やビジネスに広く影響を与える。
政令 内閣が制定する命令。 法律の細部を定めるための規則。 法律を具体的に実施するための詳細な規定。
省令 各省庁の大臣が制定する命令。 法律や政令の施行に必要な具体的な規定を定める。 特定の分野における具体的な施行規則。
告示 各省庁が発表する公式な通知。 施行規則や手続きに関する詳細を提供。 公式な通知であり、広く公表される。
通知 各省庁からの指示や指針。 法律や省令の具体的な運用方法、解釈、注意点などを示す。
業界や関係者への具体的な指示を伝える。
実務上重要なガイドライン。
具体的な指針。
通達 上級機関から下級機関への指示や命令。 法律や省令の実施に関する詳細な運用方法を指示。 上級機関からの詳細な指示。

柔整師の療養費に関する具体的な変更点は「通知」として,厚生労働省の保険局が発出することが多いです.

柔道整復師の施術に関する療養費の変遷
主な変更点と具体例
1922年(大正11年) 健康保険法制定。柔道整復師の施術も療養費の対象に。
1948年(昭和23年) 柔道整復師法制定。
昭和11年 各都道府県ごとに所在の柔道整復師会協定を結び料金表を定めて委任払いの方式を取る。
昭和17年 法改正により、医療費は勤労定額単価式に。療養費についても施行令を改正し、支給の条件を緩和。
昭和21年 診療報酬単価の改訂、施術の単価の引き上げ。料金表を改める。
昭和27年 新たな料金表が定められる。都道府県において別段の定めをなすときは、事前に中央と協議して定める。
昭和31年 療養費の請求の場合、実際に医師から施術につき同意を得た旨が施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添付は要しないことが言われる
昭和33年 健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法が制定。
昭和36年 施術料金12%引き上げ。
昭和37年 後療法において温罨法を併施した場合の加算の算定方法が改められる。
昭和38年 診療報酬の地域差が撤廃。柔道整復師の施術にかかる療養費についても甲地と乙地の別を廃し、すべての甲地における算定方法と同様の方法によって算定される。
昭和40年 医療費の緊急是正が行われる。施術料金の引き上げと後療にかかる標準回数の廃止。
昭和41年 温罨法加算の除外期間の起算日を受傷の日からとする。
昭和49年 骨折・不全骨折の後療延日数が廃止。初検料に休日加算が新設。
昭和53年 施術料金を引き上げ、骨折・不全骨折、脱臼の施術に当り金属副子を使用した場合における加算が新設。
昭和56年 施術料金の引き上げ、打撲、捻挫の施術療算定の単位となる所定部位の一部改正。
昭和58年 後療において温罨法を併施した場合の加算について、温罨法と併せて電気光線器具を使用した場合の加算が新設。
昭和59年 後療料について重点的に引き上げ。
昭和60年 初検料、往療料、整復料及び固定料の引き上げ。再検料及び冷罨法加算が新設。
昭和61年 再検料の引き上げと、温罨法からの電療料の分離独立と料金の引き上げ。
昭和63年 初検、往療及び再検に係る算定基準が改定。
平成4年 温罨法及び電療料に係る待機期間並びに冷罨法に係る算定制限が一部緩和。療養費請求の適正化の観点から、多部位または長期にわたる施術については逓減制が導入。
平成6年 初検料、再検料、打撲及び捻挫の施療料並びに後療料を引き上げ。療養費適正化の観点から多部位又は長期間にわたる施術について算定方法の見直し。
平成8年 初検料、再検料、打撲及び捻挫の施療料並びに後療料を引き上げ。療養費適正化の観点から多部位又は長期間にわたる施術について算定方法の見直し。
平成9年 初検料、骨折の整復料、不全骨折の固定料並びに打撲及び捻挫の施療料について引き上げ。打撲、捻挫の施術が3か月を超過した場合、支給申請書に「長期施術継続理由」を添付。
平成10年 初検料と再検料のほか、骨折、不全骨折、脱臼のそれぞれに係る後療料について引き上げ。
平成11年 適正な制度運営を図るため、受領委任の取扱いについて全般的な見直し。地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴い、受領委任の取扱いを定める。
平成12年 打撲及び捻挫に係る後療料を引き上げるとともに、施術部位が4部位以上の場合の料金の算定方法について変更。
平成13年 柔道整復の施術所において患者から受領する老人一部負担金相当額について、新たな取扱いの規定。
平成14年 往療料と再検料の引き下げを行うとともに、施術部位が3部位以上の場合の後療料、温罨法、冷罨法及び電療料について、4部位目は所定料金の100分の33に相当する額で算定。
平成16年 施術部位が4部位以上の場合は、すべての負傷名に係る具体的な負傷の原因を療養費支給申請書に記載すること。
平成18年 初検料、往療料の引き下げ及び再検料の引き上げと温罨法加算の引き下げ。往療距離が片道8㎞を超えた場合は一律定額の加算に変更。
平成20年 往療料の引き下げ。初検時相談支援料が新設。後期高齢者医療制度の実施や健康保険の一部負担金の変更などに伴い、「柔道整復施術療養費支給申請書」の様式の一部が改定。
平成22年 後療料等について、施術部位が3部位以上の料金の算定方法について変更。打撲、捻挫の後療料の引き上げ。領収証および希望者への明細書の発行を義務づける。
平成23年 支給申請書に施術日を記載する。打撲、捻挫について、同時に複数箇所を負傷した場合の取扱い等を事務連絡で周知。
平成24年 柔整審査会の審査要領で、多部位・長期・頻回施術を特に重点的に審査する事項として位置づけ。
平成25年 多部位請求の逓減強化。打撲、捻挫で3か月を超過して頻度の高い施術を行う場合は、支給申請書に経過や理由の記載を義務付け。施術管理者に、柔道整復師名の施術所内掲示を義務付け。
平成26年 初検料と再検料の引き上げ。
平成28年 初検料、骨折、不全骨折、脱臼の整復(固定)料と後療料、冷罨法を併施した場合の加算の引上げ。
平成29年 事業者等に金品を提供し、患者の紹介を受け、その結果なされた施術を療養費支給の対象外とする。
平成30年 施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入。「急性・亜急性」の文言削除、再検料の引き上げ、柔道整復運動後療料の算定。
令和元年 消費税率引き上げに伴い算定基準改定。
令和2年 初検時相談支援料の要件強化及び引き上げ。
令和3年 長期・頻回施術等について償還払いに戻すことができる仕組み。施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入。
令和4年 往療料(片道4キロメートル超)の算定基準見直し。一部施術所は明細書の患者への交付義務化。
令和6年 柔整療養費の改定率+0.26%。明細書交付義務化対象施術所の範囲拡大、明細書発行体制加算の算定回数拡大及び算定額の改定。初検料、電療料の引き上げ。長期・頻回受療に係る料金適正化。

このように,柔整師の療養費に関しても大きく改正が行われてきました.

さて,ざっくりと時代の変化による健康保険法改正について知ることができたでしょうか.

次回は,給付の方式について,もう少し詳しく振り返ります.