どうも、外傷柔整師ほねゆきです。
皆さんは、「ルーチン」というものをお持ちでしょうか?
ここで言うルーチンとは「型通りの決まったものごと」を指します。
ルーチンを作ることによって自己の精神を落ち着かせたり、思考を単純化させミスを防ぐなど、さまざまな良い効果があるようです。
少し前に有名になったラグビーの五郎丸選手も、ゴールキックの前にルーチンを行っていましたよね!
あれは、ラグビー日本代表に就いたメンタルコーチの荒木さんという方と一緒に作り上げたもののようです。
ほねゆきも実は臨床において、ルーチンがいくつかあります。
それは、「患部を触る前にまず眺める」ことです。
ほねゆきは患者さんの患部を見る時に、まず無心で20秒ほど外観を眺めます。この間は患部を触ったり、話しかけたりはしません。
患者さんは、「この無言の時間はなに?」と思うと思いますが、それで怒る患者さんはいませんから、気にしなくて良いです。
しっかりと目で患部を観察してから、触診にうつります。問診の段階である程度の鑑別はあがっていて、この視診によってほぼ傷病を絞れます。
これは元々、慣れてきて視診を怠ってしまうクセを治すために始めたものです。
臨床の現場では、脳内のギアが何段も上がっており、どんどん次に進んでいきがちです。
そういった時にミスや見逃し、誤診が起こるのです。
皆さんも何かする時に、あえて一度立ち止まったり、ゆっくり時間をかけるタイミングを作ると良いかもしれません。
さて今日は、保険者(協会けんぽ、各健康保険組合のこと)についてのお話です。
接骨院の受療妨害?
皆さんは、「接骨院の受療妨害」という言葉を耳にされたことはありますか?
受療というのは、いわゆる受診と同義語です。それをじゃますることを「受療妨害」といいます。
なんと、健康保険組合をはじめとする保険者が、患者さん(被保険者)に対して私たち柔道整復師の施術を受けないように促している現実があるのです。
医療保険財政がひっ迫してきていることもその背景にあるのですが、医科へは大々的に受診妨害ができないですから、文句をあまり言わない接骨院にその牙が向いているのでしょう。
保険者はこの受療妨害を「医療費の適正化」と称していますが、中には度を過ぎているものも見受けられるのが事実です。
現在では、多くの健康保険組合では被保険者(患者さん)に対し、接骨院を受療した場合の療養費支給申請書(レセプト)への署名は、負傷名、日数および金額を確認の上行うように促しています。
私たち柔道整復師の保険施術は「受療委任払い」ですから、患者さんから療養費の受療委任を受けて成り立つものです。
患者さんが柔道整復師に委任を行った証(あかし)として、レセプトの委任欄に署名を行ってもらいます。
でも、負傷日、日数および金額を確認した上で署名を行ってもらうとなると不具合が生じます。
負傷日は初検の段階で分かるものですが、日数や金額はその月が終わらないと確定しません。
と言うことは、毎月、月末が済んで次の月に変わってから、患者さんに署名をもらうことになります。
とは言え、レセプトの提出締め切りは毎月5日、締め切りが遅い所属団体でもせいぜい7日です。
んー、困った仕組みだな。。。
患者さんを困らせたいの?
保険者の言う通りに患者さんに負傷日や日数および金額を確認した上で署名を行ってもらうとなると、月末が済んでその月のレセプトを仕上げ、一軒一軒患者さんの家を回って署名をもらうことになりそうです。
実際に接骨院を親の仇だと思っている保険者は、患者さんにこういったことを言っています。
「療養費支給申請書は、受療者が柔道整復師に健康保険組合への請求を委任するものです。白紙の用紙にサインしてしまうのは、間違いにつながる恐れがありますので注意してください。」
と、このように被保険者(患者さん)に警告する保険者もあるようです。
文言だけ見るとごもっともなようですが、月末を過ぎてから(レセプトに負傷日、日数および金額が書き込まれてから)でないと署名してはいけないと言うならば、署名してもらえるまでの間は受療委任がなされていないことを意味します。
受療委任がなされていないということは、それまでは患者さんには費用の全額を立て替えてもらう必要が生じてきます。
月末が過ぎるまでの間は施術のたびに費用の全額を立て替えてもらい、月末を過ぎてからレセプトを確認してもらうということですね。
そして、レセプトを確認してもらってから署名を行ってもらい、それと引き換えに立て替えてもらっていた費用(保険請求分)を返金するという流れになってしまいます。
これでは、受領委任払い制度の意味がありませんね・・・。
ほねゆきの接骨院でも以前、患者さんからこう言われました。
「保険者からはレセプトの記載内容を確認してから署名するように指導されているのですが・・・」
こう言われたらしかたがないので、患者さんの希望の通りに業務をすすめます。
その患者さんには白紙のレセプトには署名してもらわず、月が替わってから施術日数や金額を全て書き込んだレセプトを確認してもらった上で、自筆署名してもらいました。
もちろん、署名してもらうまでの間は毎回、施術に要した費用の全額(10割額)を立て替えてもらいました。
施術のたびに費用の全額を立て替えてもらっている時、患者さんは何度もこう言います。
「健康保険が本当に適用されているのですか?」
もちろん「立て替えて頂いている金額は健康保険の一部負担金額ではなく、健康保険適用前の費用の全額です。」とお答えしました。
その時、患者さんは「健康保険が適用されるはずなのに、費用の全額(10割)を立て替えるのはおかしい!」と言います。
それ対してほねゆきは、「健康保険を適用させるための受療委任の署名がなされていないのだから、署名を行ってもらうまでの間は10割額をいったん立て替えてもらいます」と説明しました。
一般に言う白紙委任に対する指導としては保険者の言うことにも間違いはないのでしょうが、ことのほか柔道整復師の保険施術における受領委任で白紙委任を問題視されてしまうとこのような不具合が生じてしまいます。
これでは、保険者は被保険者(患者さん)の負担を増やしているだけです。
接骨院側はレセプトの提出が遅れる程度で、大きな負担は増えません。(入金が遅れるので、それは負担か。)
保険者がなるべく財源を残したいのは分かりますが、保険料を払っている患者さんサイドはこれを望むのでしょうか?
受療委任払い制度は、私たちの先輩である柔道整復師の人たちが勝ち取ってくれた財産です。
この権利を今後も継続して持ち続けるためには、保険者から信頼される柔道整復師であり続け、正しく運用していく事で、柔整師が穿った目で見られない未来に進めるのかもしれません。
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