対診した後に接骨院に来なくなった事例

どうも、暑さに弱い外傷柔整師ほねゆきです。

暑さに弱いのはほねゆきだけではありません。そう、接骨院に置いてあるラバーパッド類です。

ほねゆきが接骨院を作ってまもない頃、使えそうなパッド類はまとめてボックスに入れて収納していました。

パッドに使われているラバーが熱に弱く、長時間暖かいところに置いておくと、酸化して変色したり硬く変性したりすることは知っていました。

知ってはいたんです。

なので、直射日光に当たらない倉庫に、そのボックスを置いていたのです。

が、しかし…

倉庫はクーラーが届かず、普段は密閉された空間のため、日中は体感60℃くらいになります。

数日後に見ると、いくつかのパッドが溶けて1つの大きな塊になっていました。(ーー;)

もちろん、患者さんには使えないので廃棄となりました。

「暑いのなんてへっちゃらさ!」というみなさんも、ゴムが使用されている固定材料の保管には十分お気をつけください。

さて、今日はそんなほねゆきの接骨院が舞台のお話です。

対診することは日常

30年以上も施術に携わりながらほねゆきは、自分の判断に自信を持てないこともあります。

はっきりとした原因のある外傷に関しては、まず間違えることはありませんが、そうではない傷病に関しては知識や経験が及ばないことも多くあります。

皆さんもよく理解していると思いますが、柔整師の業務範囲外の傷病の患者さんも接骨院には来院します。

患者さんは、症状の正体が内科的疾患でも、それを怪我などの筋骨格系の問題だと認識すれば接骨院に来てしまいますからね。

接骨院において、骨折や脱臼の後療施術を行うための医師の同意を得るための対診は当然のことですが、それ以外の傷病でも対診をすることが少なくありません。

初検段階から自分では手に負えないものだと判断して対診することもあれば、腰痛であっても1週間施術して症状に改善が見られない場合など、ほねゆきが推測した回復から何か逸脱することがあれば、その時点で対診することもあります。

一見して外傷に見えるけど、もしかしたら内科的な疾患が隠れているのでは?なんて心配になってくることもあるかもしれません。

自分の間違えをあぶり出すには、小心者である必要もあるかもしれません。

そのおかげなのか。ほねゆきの接骨院は様々な医療機関に対診したことがあります。

1年前は通っていた患者さんが、自分の飼っている犬を連れてきて「ここ怪我したから見てほしいんだけど」と連れてきたこともありました。

それはもちろん、患部を見ずにかかりつけの獣医さんに行くようにいいました。(笑)

対診を嫌がるAさん

患者さんから、「ほねゆき先生は検査好き」などと思われているかもしれませんが、取り返しのつかない間違いを犯すよりは、患者さんから変に思われた方が100倍いいです。

ある日、57歳の女性会社員Aさんが、「数日前から寝違えたようで首が痛い!」と言って来院されました。

右上位頸椎部に相当の疼痛を訴えます。同じ部位に圧痛を認めます。

筋緊張は少しあるような・・・。

でも、頸部には明らかな運動障害を認めません。すぐには、これといった判断がつきませんでした。

なので患者さんには「私にはこれが何なのか分かりません」と伝えました。

ほねゆきがお世話になっている整形外科の先生へ対診しますと伝えますが、この患者さんは断ります。

この患者さんは、前にほねゆきの接骨院で足関節の三果部骨折を治している患者さんで、なぜか病院が嫌いなのです。

どんなに良い先生だと分かっていても、病院というだけで行きたくないといいます。

正直、困った患者さんです。。。

とりあえず頚椎カラーをつけてもらい、症状が増えるようだったら必ずこの傷病がわかる先生にかかることを約束してもらいました。

しかし、翌朝にはまた「首が痛いんですよ!」と言って翌日にもほねゆきの接骨院に来院するAさん。

筋緊張はマシになっているようにも思えます。でも、訴える疼痛に変化はないような。

ほねゆきは「痛みが変わらないようだから一度、整形外科で検査してもらいましょうか?」ともう一度言いました。

しかし、「ほねゆき先生は、ちょっと分からないってなったらすぐ、検査に行け!なんて言うからね~。検査に行ったところで結果は異常なしでしょ!検査に行くのにもお金がかかるのよ! お金が!」

とAさんは言います。これは強敵です。まぁしかし、おっしゃるとおりです。

対診を促すほねゆきに出費はありませんが、対診に行く患者さんにしてみれば、時間も費用もかかってしまいます。

しかし、自分が施術を開始して何かあれば、取り返しがつきませんし、そもそも傷病が判断できずに治療はできません。

「試しに電気治療してみましょう。」では、患者さんは納得するかもしれませんが、柔整師としては示しがつきません。

そんなこんなで、患者さんはどこにも受診せず、ほねゆきの接骨院に毎日来てしまいます。来院されます。

初検から4日後、Aさんは「今朝から舌がしびれる感じがする」と訴えました。

口を開けてもらい、舌を動かしてもらっても普通です。ヘラで舌を突いても知覚の鈍麻を認めません。

でも、しびれている。しびれる部位は、舌の右外側部分のようです。

ほねゆきは(も)痺れを切らして「舌がしびれているのなら、絶対に病院で検査してもらいます!」とAさんを突っぱねました。

「いや~、言うほどしびれていませんよ。ちょっとしびれたような感じがすると言うか・・・」とAさんは、急に違うことを言い出します。

「いえいえ、紹介状を書きますから、整形外科に行ってもらいます!」

そして、その日を境にAさんは来院されなくなりました。

しびれがきついようだったらAさんの家にでも電話して、整形外科の受診を促すところでしたが、患者さんのことを思いすぎて逆にトラブルに発展するケースもすくなくありません。

その後…

それから2か月くらい経ってからでしょうか。突然、Aさんがやって来ました。

「Aさん!どうしたんですか?!」

Aさんの長い長い話を聞くと、あの後にAさんがどうしたのかが判明しました。

ほねゆきに対診を勧められた日、自宅に帰ってから近所の奥さんにこう言われたそうです。

「接骨院の先生は分からなければすぐ、検査に行け~!なんて言うのよ!要するに、大げさなのよね!首が痛いのなら、あそこなんかよりもマッサージしてくれる隣町のB整骨院に行かなくちゃ!」と。

それで、近所の奥さんに勧められるまま、その翌日から毎日、そのB整骨院に通ったらしいです。

B整骨院ではそりゃもう丁寧なマッサージをしてくれたとのこと!

ほねゆきはこれまでに慰安的な手技を接骨院で行ったことがありませんから、まぁそういうのを求めている患者さんからすれば、”大袈裟な能なし”であることは間違いありません。( ̄  ̄)

朝の首の痛みもずいぶんマシになったとか。

「ほぉ、そりゃ良かったじゃないですか。」と心で呟くほねゆき。

「すみません、もう次の患者さん来ちゃうのでまた…」と話を切り上げようとしたその時。

「でも、B整骨院に通い始めてから1週間くらい経った時に、舌の右側のしびれが急に強くはっきりとしてきたのよ〜」

「そしたら、ほっぺたにも痛みがでてね〜。」

舌の痺れがつよくなったその翌日には、右頬から右頸部にかけて、ブク~ッと腫れたと言います。

「そしたらもう、不安になっちゃってさ。ついに専門のおっきい病院にいったのよ!」

「あれだけ病院が嫌だと言っていたのにコイツは..」「あれだけ病院が嫌と言ってたのに、そこでやっと行くんかい」と思いましたが、ほねゆきは言うのを我慢しました。

そして、慌てて病院を受診したところ、ヘルペスだったとか。

病院の先生にそれまでの経緯を伝えたところ、「ほねゆき先生の判断が正しい!どうして、ほねゆき先生に検査を勧められた時に来なかったのですか?その時、来ていれば、これほどひどくならなかったのに!」と叱られたとか。

Aさんは「なんで、あの時に強く病院受診を勧めてくれなかったんですか〜。」と冗談混じりにほねゆきに話しかけてきます。

ほねゆきは仏の心で、「あれだけ言ったじゃないですか〜」と笑顔で返しました。

先見の明は要りません

結果的には、最初の来院時にすぐ、対診を勧めて正解でした。

その結果、Aさんは他の整骨院へ通院してしまったものの、対診を勧めずにほねゆきのところで施術を継続していたら、責任問題に進展しかねませんね。

現に内科的疾患を強く疑う所見があり、それを確認していたのにも関わらずに関係のない施術を継続して患者さんに被害があり、柔整師が訴えられているケースを知っています。

患者さんがほねゆきを訴えなくても、ヘルペスを治療する先生に確実に迷惑をかけることになったかもしれません。

なお、ほねゆきの接骨院の代わりにAさんが受療したB整骨院では、病院へ対診されるのを怖がってAさんは舌のしびれを訴えなかったそうです。

頸部の限局した痛みとヘルペスに因果関係があるのかどうかは詳しくないですが、僅かな舌のしびれがヘルペスの初期症状だったのかもしれません。

一見して私たちの業務範囲内の傷病のように見えても、中にはAさんのように医療機関で診療を受けなければならない疾病が潜んでいる場合があります。

少しでも、業務範囲外の疾病の存在を疑う所見が見られた場合は速やかに、対診を行うべきですね。

Aさんの後日談を聞いて、改めて対診を行う習慣がついていて良かったと思いました。

でも相変わらずAさんは、ほねゆきの接骨院は紹介するのが趣味だ!なんて言いふらしているようです。(ーー;)

「先見の明」は要りませんが、少し先のリスクを考える頭は必要不可欠です。

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4件のコメント

ご丁寧にありがとうございました。

業務範囲外と自分の下した判断に責任を持って対応しなければならないという事がよく分かりました。
患者さんが決めるのだと言われると確かにその通りですね。

ありがとうございます。

しかし、病院で「異常が無い」「ただの筋肉痛」「気のせい」などと言われ帰って来られたら、何を信じていいか分からなくなって、また迷いそうになります。

ウダウダとボヤキのようなコメントに
お答えいただきありがとうございました。

対診した理由が完全に払拭されるまでは、然るべきところに対診し続けた方が良いと思います。

「何を信じていいか分からなくなって」とありますが、まずは対診した理由を自分の中で明確にしましょう。

ここで重要なのが、頭の中で「何も分からない!」と結論を付けたのか、「この疾患かなぁ」と検討がついているのかという点です。

「何もわからない!」→分かるまで触らない。対診後に分かっても、自分でなんの判断も出来なかったくらいなので恐らく触れられない。

「この系統の疾患かなぁ」→その疾患の専門の先生にお願いする。ある程度関係が築けていれば、こういうのを疑ったのですが、どうでしょう?と聞ければいいですよね。

なんとも言えない回答で申し訳ありません。先生のように患者さん思いな方には、私も何かあれば、是非相談させていただきたいくらいです。

いつも楽しく見させていただいてます。

ほねゆき先生は、内科的疾患や異常な腫瘤などが疑われ、対診の結果異常なしとなり、経過を見ているとやっぱりおかしい!となった場合はどのようにされているのでしょうか?

強く症状が残っている、または疼痛が有り変化が無い場合は、再診してもらいそのまま医師にお伝えすれば良いと思うのですが、

疼痛などが無くなってきているが、おかしな所見や画像に変化が無い場合どうされてるのでしょうか?

患者さんの事を考えると、初診にならない範囲でもう一度受診してもらった方が負担は少ないですし、ましてや業務範囲を超える内容であれば尚更、異常なしと言われた時にどうすればいいのだろうと悩みます。

医師の診断を否定する訳では無いですが、やはりおかしいと思った場合、患者から訴えてもらうのが1番事がスムーズに運ぶのでしょうか?

この場合だいたいの答えは、柔整師に分かるわけがない、とお叱りを受けるのですが、分からないのは当然で、更に困り果てます。
違う病院へ行ってもらうのも患者さんの負担も大きいので、更に頭を悩ませます。

先生はどうされてますでしょうか?

悩める子羊さん
コメントありがとうございます。

まず、そもそも業務範囲でない(運動器疾患でない)場合は経過をみてはいけません。
自分で内科的な疾患だと思えば、対診をして「接骨院ではみれません」と伝えるべきです。
対診後に異常がないと言って接骨院に患者さんが帰って来ても、自分が業務範囲外だと思えば治療を断らなければいけません。

さて、例えば「背部が痛い」という帯状疱疹発症初期の患者さんが接骨院に来たとしましょう。
この時に、明らかな受傷機転がなければ帯状疱疹等の疾患を疑いますね。
そして医科へ対診するでしょう。しかし、医科で診断が付かず「なにもない」と言われたとしましょう。
そして、また接骨院に「やっぱりなにもないみたいですよ。治療してください。」と戻って来たとします。
こうなれば、ほねゆきは「しかし、接骨院での治療対象のものではないと判断しましたから治療はできません。他の医科を受診してみてください。」
と伝えます。結果的には他に受診するか、様子を見るか、患者さんに委ねることになりますが、「様子をみてください」とは言ってはいけません。
あくまでも、医科への受診を勧め続けるのです。これはリスク回避のためです。
そういった対応をして、患者さんが様子をみて、結果的に何もなかった場合はそれでお終いですし、何かあれば患者さんの自己責任です。
業務範囲外と判断したのであれば、治療開始するという選択肢は初めからないのです。

これは比較的時間に猶予のある場合を想定した話です。例えば、疑った疾患が主訴腰痛の大動脈解離であった場合。
これはすぐに行ってくださいと伝えるべきですね。なにもないと帰って来たとしても、「すぐに違う病院へ」と言わないといけません。
柔整師は診断権はないですが、一般臨床医学が授業にあるのは、業務範囲外のものをある程度見分けないといけないからです。

ケースバイケースですが、最低限のラインを間違わずに自分の中に設定しておけば、事故はありません。
「違う病院へ行ってもらうのも患者さんの負担が大きい」とありますが、「負担」かどうかは患者さんが判断するものです。
まずは、責任を全うしましょう。

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