” 腓骨遠位端剥離骨折 ” 見落としの結末①

題名からしてかなりセンシティブですが、大事な話なので最後まで誤解のないようによく読んでください。この記事は自分に対してこれからも気を引き締めないといけないと思わせる意味と、臨床の現場に出ている柔整師に小児の骨折見落としの危険性を啓蒙する意味で執筆いたします。

この記事を読んで、ほねゆきが外傷を勉強しなければならないと言っている意味をわかっていただきたいです。柔整師として患者さんもしくはお客さんの体を診る(見る)以上は、その裏に潜む危険性を認知して、常にアンテナを張っておかなければなりません。

前置きが長くなりますが、今回の話は実話です。さらに、稀な事象ではありません。ほねゆきが臨床の現場に立ってから同様の症例はたくさんみてきました。そのたびに患者さん本人や親御さん、その他の家族の辛そうな顔をみてきました。

同じような症例を経験したことのある方も、まだあまり臨床にでていない方も、今回の内容は是非読んでいただきたいです。そして、これをきっかけに外傷について一緒に勉強していければと思います。

当ブログは、特定の団体や個人を非難することは決してありません。記事の内容を湾曲して捉えることのないようにお願いいたします。

長くなりますので、2つか3つの記事に分けたいと思います。

 

目次


  • 過去のエピソード
  • つづく

エピソード

忘れもしません。これはもう10年ほど前のことです。ほねゆきが接骨院で勤務していた時のこと。12歳の女の子がお母さんに連れられて来院しました。ほねゆきはその時は、院長の診察をすぐ後ろでみていました。

患者さん(12歳の女の子)が軽度の破行を呈しながら歩いて部屋に入ってきました。それほど辛そうな顔はしておらず、患肢への荷重をうまく逃して破行にも慣れている?ようです。お母さんもそれほど心配しておらず、なにやら様子がおかしいです。

 

院長 「今日はどうされたんですか?」

お母さん 「そんなに腫れてないんですけど、右の足を捻挫してしまって」

院長 「どうして捻ってしまったんですか?」

お母さん 「下校中に捻ってしまったみたいで」

院長 「じゃあ、特に走っていたりとか、段差につまづいたわけではないんですね?」

 

院長はもちろんこの時点で色々なことを察していたと思いますが、ほねゆきもこれは怪しいなとこの時点で思いました。

まず、お母さんが子どもの捻挫に対してそれほど心配に思っていない点に引っ掛かります。上記の会話書き起こしでは伝わりませんが、子どもが捻挫することに慣れている様子がありました。もちろん。全く心配していないわけではなく、ネグレクトのような感じは全くありませんでした。

次に、女の子が疼痛回避歩行に慣れていそうだという点と、お母さんの「そんなに腫れてないんですけど」という発言に注目です。

ピンとくる方は多いと思いますが、この時点で捻挫の既往があって今回が初回の捻挫ではない可能性が高いです。何度も捻挫をしていると本人も痛くない歩き方を覚えます。

お母さんの「そんなに腫れてない」という評価に信憑性はありませんが、これは過去にもっと腫れた患部を見たことがある可能性を示唆します。もしくは、腫れを見慣れている。もっと言うと、医療機関にかかった際に腫脹が重要な臨床所見であることを知っているというところでしょうか。つまり、捻挫で医療機関にかかったことがある可能性があると言うことですね。

患者さんや親の言動を細かいところまで分析してめんどくさいでしょうか。これを面白いと思う方は外傷をみるのにきっと適性があります。笑

まだ続きますよ!

次のポイントは、何もないところで歩いていて捻ったというところでしょう。これは明らかに足関節に不安定性があることを示しています。

靴があっていない?ちょうど歩いていたところが斜面だった?滑りやすいところだった?誰かに押されたけど本人が言いづらいだけ?など色々と思考は巡りますが、それまでの条件を考えても足関節も不安定性があることを1番に疑うべきだと思います。

それでは、続きの会話を見ていきましょう。

 

院長 「じゃあ、特に走っていたりとか、段差につまづいたわけではないんですね?」

女の子 「うん、いつも捻っちゃう」

お母さん 「どっちの足かはわすれましたけど、前にも捻ってるんです。1ヶ月くらい接骨院に通って直してもらったんですけど、この子がいつも慌ただしいからまた捻っちゃって…」

院長 「ん、接骨院はどちらに行ってたんですか?」

お母さん 「〇〇〇〇です。」

院長 「今回はどうして当院にいらしたんですか?」

お母さん 「実はこの辺に引っ越して来て、近かったのでお伺いしました。

 

また新しい情報が出て来ました。1つずつ見ていきましょう!

まず、本人の「いつも捻ってしまう」という発言です。いつもということは1〜2回ではない可能性が高いです。本人は小学6年生ですから、ある程度言葉の使い分けはできているでしょう。

次に母親から「前にも捻っている」「1ヶ月通った」「本人が慌ただしいから捻る」という発言がありました。

ここから読み取れるのは、治療が必要なほどの捻挫の既往が確実にある、過去の捻挫は1ヶ月で治る程度の捻挫だった、もしくは完治を待たずに(治癒の判断が出来ずに)早期に治療が終わってしまった、母親が捻挫を繰り返す理由を理解してないということです。

ここまで聞いて、ほねゆきが1番可能性が高いと思うシナリオは、

“過去に骨折があったが前に診てもらったところにて骨折を見逃されて捻挫として治療を受けた。誤診に気づかずに初期治療に失敗し、骨癒合不全のまま症状が先に腫脹や自発痛などの引いてしまったため、1ヶ月で治癒とされる。治療した先生は骨折と気づいていないため、当然母親は、捻挫は完全に治ったものと認識しており、捻挫を繰り返す理由が患部ではなく、本人の性格にあると思っている。”

というものです。

なぜ骨折とわかる?と思った方がいると思いますが、小児において靭帯損傷より骨折の方が発生確率は高いため、骨折を疑うのは当然です。

さらに問診は続きます。

 

院長 「引っ越しされたんですね!過去に何度ほど捻挫をしてますか?」

お母さん「さっき言った1回だけだと思います」

女の子 「いや、5回くらいあるよ!すぐ治ったけど笑」

お母さん 「そうなの?!」

院長 「たくさん捻ってしまったんですね。1番最初に捻ったのがいつ頃かわかる?」

女の子 「3年生のとき!」

お母さん 「じゃあ、さっき言った〇〇〇〇に通った時が最初です。その後も4回も捻ってたのね。なんで言わなかったの?」

女の子 「すぐ治ったから!」

また新しい情報が出てきましたが、今日はここまで。また次回に続きます。m