昨日の患者さんについて追考察。

ん、なんの話?

昨日の患者さんって?という方へ

昨日(令和4年2月6日)に投稿した『皮下出血斑(皮下溢血)は骨傷を現す?』という記事をまだみていない方は先にそちらをご覧ください。

『皮下出血斑(皮下溢血)は骨傷を現す?』

今回は、その患者さんについてもう少し考察したいと思います。是非、お付き合いください!

時系列をおさらい!

【受傷当日】
手当てを行うほどの疼痛を感じなかったので自宅でそのまま放置。通常通り家事をこなし、腕は少しかばいながらも生活をしていた。

【受傷1日後】
前日よりも疼痛の増強を覚えたため、薬局で買った冷湿布を施行。前腕に2枚貼付(ちょうふ)。
冷湿布を施行後、徐々に腫脹が出現。(出現と書くとそれまでなかったのかという話になりますが、それまでは自覚するほどの腫脹がなかったという意味です。)ただし、皮下出血班は認められなかった。

【受傷2日後】
腫脹と共に皮下出血班を認めたため来院。

外観からわかる情報は無限大!?

皮下溢血の色の変化は、赤→紫→青→黄→白の順に変化しますよね?授業で言うと一般臨床医学の教科書で出てきます。これは皮下での血液が分解される様子を色で見るとこうなるのです。

画像に見える皮下出血班の上部(上腕1/3部前面~橈側)では、皮膚色は黄色味を帯びてきています。これは、皮下出血班が出現してから時間が経過していることを示唆しています。この症例では、受傷2日後(皮下出血班が出現してから1日後)で皮下出血班の色が部分的に黄色になり始めているということです。

また、肘関節前面では、皮下出血班が出ているところと出ていないところがあります。皮下出血斑の部分に、皮下出血斑が出ていない部分が横線のように確認できます。これは、肘関節や膝関節において冷湿布を比較的長時間、施行してあった場合に見られる皮下出血斑の様子です。肘窩の上下には二本の縦の跡形が見えますが、これは湿布の跡ですね。湿布は肘関節の内側と外側から2枚を縦に貼られていたことが推測できます。

皮膚の変色は、前腕の掌側では手関節までです。これは、橈骨遠位端骨折などでも同じで、手掌部に皮下出血斑が及ぶ場合は余程でない限り認められないのが一般的です。

このように、腫脹(浮腫を含む)や皮下溢血の出現場所やその出方を見て、損傷部位や損傷程度の推測を行います。ですから、腫脹や皮下出血斑を伴った傷病に遭遇する都度、これらを注意深くしっかりと確認しておくことが大事です。

おまけ

臨床の現場にいるときっと、「これは骨折かなぁ…」とか「どこまで損傷しているんだろう…」とかいうふうに、判断に悩む症例に出くわします。その時に、普段から外観の観察がしっかりできていると鑑別が容易になる場合が多いです。

それに、今回のように湿布を貼っていたのかな?などと容易に想像できるような外観の様子で、仮に患者さんが来院前に湿布を剥がしていた場合、

ほねゆき

〇〇さん、湿布はどのくらい貼っていたんですか?(ニヤリ)

患者さん

え?!なんで湿布貼ってたって分かるんですか?!(驚愕)

というような感じで、先生にはなんでもお見通しだね感を演出することは、その後の通院加療においてとても重要です!もちろん、それに見合った実際の臨床力も伴ってなければいけませんが。(笑)

さて、意図せず2本立てになってしまいましたが、今回のお話はどうだったでしょうか。外観なんて見てないでさっさと画像検査でしょ!なんていう先生にはほねゆきは診てもらいたくないですね。。。

それと、視診と同時並行して行う触診は基本所作として自分の中で確立されておかなければならないとほねゆきは感じております。TwitterのDMでよく学生さんから聞かれることの一つに「臨床に側したいい書籍はないですか?」という質問があります。ひとりひとり返信していますが、大変なのでこのブログでも書く余力があれば(笑)、記事の内容にある程度沿ったものを紹介していきますね!

ほねゆきが学生時代に学校の先生に紹介していただいた本で、知る人ぞ知る名書です!古い書籍ですが(医学書にしては新しい?笑)、触診技術も載っていて見ていてワクワクします。それほど高額でもないので、すでに臨床に出ている先生にもおすすめの医学書です。

『図解四肢と脊椎の診かた』スタンレー・ホッペンフェルド 1984年 医歯薬出版

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